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四千頭身・後藤拓実『ボクらの時代』出演が実現 かつての松本人志の面影を見る

土佐兄弟・有輝×ぱーてぃーちゃん・すがちゃん最高No.1×四千頭身・後藤拓実 | TVer

 なんとなく一流のオシャレタレントばかりが出演する番組というイメージが定着して久しい『ボクらの時代』(フジテレビ系)。12日朝の放送分に、四千頭身・後藤拓実、ぱーてぃちゃん・すがちゃん最高No.1、土佐兄弟・有輝の3人が出演した。

 冒頭から、有輝が「ホント、これ?」、すがちゃんが「意味がわかんないんだよな」と口にするのも無理からぬキャスティング。

「流れてますか、テレビ?」(後藤)
「俺は今日はドッキリGPだと思ってる」(有輝)
「だってここの席、Tverで見たとき森山未來さん座ってましたよ」(すがちゃん)

 3人はこの番組出演に違和感を隠さないが、ナレーションの小林聡美(一流のオシャレ俳優)に「今、Z世代に大人気の芸人」と言われれば、なるほどそうかと納得しないわけでもない顔ぶれである。

 出演のきっかけは、後藤が先日放送された『全力! 脱力タイムズ』(同)に出演した際、アンケートに「ボクらの時代に……まだ早い気もするけど」と答えたこと。だが、実際にはこのアンケートは『脱力』内でのネタ振りであって、後藤に『ボクらの時代』を疑似体験させるという体裁で、ビートたけしと明石家さんま(2人ともモノマネ芸人)、変なアイドル2人、一発屋芸人4人をあてがい、困惑する後藤の姿をみんなで笑おうという企画だった。

「その放送を受け、本当に今回の鼎談が実現しました」と小林聡美は言うが、依然としてよく意味はわからない。「放送を受け」と「実現しました」の間に、理由がないのだ。

 それはそれとして、後藤というのは不思議な芸人だと感じる。『脱力』のパロディでキツめにイジリ倒されているときでも、本物の『ボクらの時代』でセンターに座っているときでも、その態度がまったく変わらない。よく言えば落ち着き払っているし、悪く言えばテンションが低い。取り乱したり、ハシャいだりという姿を見たことがない。

 思えば「お笑い第7世代」の一員としてバラエティに出ずっぱりだったころも、『四千頭身のオールナイトニッポン0』(ニッポン放送)でメンバー同士で大モメしていたときもそうだ。浮足立つことなく、声も小さい。それでも需要があり続ける理由は、時おり単発で繰り出すワードの強さと、繊細に見えて、実はイジっても大丈夫そうな妙な打たれ強さあたりだろうか。

 ふと、思いが及ぶのである。決してハシャがず、立ち姿勢も悪く、むやみに前に出ず、鋭いワードで一刺し。センスしか見せない。それで笑いを取っても、どこ吹く風で知らん顔をしている。暗い目をして、世間に迎合する素振りもない。

 これ、松本人志なんじゃないか。しかも、今の若手が実はあんまり見たことがない、『遺書』(朝日新聞出版)以前の、「在りし日の憧れ」としての松本人志の姿なんじゃないか。

 例えば、2000年代の「baseよしもと」では、舞台で私服を着崩し、猫背でボソボソしゃべる漫才師が大量発生した時期があった。当時の支配人が業を煮やして「漫才禁止令」を出すほどに、みんなが松本人志になりたがっていた。アンタッチャブル・山崎弘也にさえそんな時期があったことも、最近ではネタにされることが多くなった。

 そして、みんな途中で折れるのだ。なぜなら、誰も松本人志ではなかったからだ。

 今回の『ボクらの時代』で、後藤の芸人としてのルーツが語られた。当時の夢は「SCANDALのTOMOMIに会うこと」。好きな芸人は「あばれる君」。デビューのきっかけは「友人が勝手に応募した養成所のオーディション」。と、まるで松本人志に憧れていない。憧れていないのだから、折れようがない。

 思い出したシーンがある。19年10月の『ダウンタウンDX』(日本テレビ系)。四千頭身がゲスト出演していた。

 ブレーク直後の後藤は「先輩芸人が優しすぎて、どうしていいかわからない」と言い、「先輩に会うと靴を殴る遊びをして、リアクションを楽しんでいる」というエピソードを明かした。その直後、松本が「おまえ、ええ靴、履いてんなぁ!」と言いながら後藤の靴を殴打。後藤が「すみません僕芸人辞めます」と返すと、松本も「俺もMC辞める!」とピンマイクを外してしまい、結果、後藤と浜田雅功がMC台に収まるという一幕があった。

「ここに立ってわかりました。俺はダウンタウンにはなれないんだなって」(後藤)

 このときも思ったのだった。「ここに立ってわかりました」ってなんだ。浜ちゃんの横に立つまで、わかってなかったのかよ、と。

 四千頭身・後藤拓実が松本人志だといえば、大いに反論はあるだろう。単なる思い付きに過ぎない原稿だ。日曜の昼下がりに、単なる思い付きに過ぎない原稿を書いて発表する権利があって、少しのお金もいただけるわけだ。それにしても、今日は冷えますね。お風邪などひかぬよう、ご自愛ください。

(文=新越谷ノリヲ)

新越谷ノリヲ(ライター)

東武伊勢崎線新越谷駅周辺をこよなく愛する中年ライター。お笑い、ドラマ、ボクシングなど。現在は23区内在住。

n.shinkoshigaya@gmail.com

最終更新:2023/11/12 16:46
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