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ダウンタウン・松本人志が文藝春秋を提訴したことについて思うこと

尼崎出身で、同じ地元の・ダウンタウンを「追い抜くべき目標」としてきた作家の沖田臥竜氏。所属する吉本興業からも距離を置かれ、四面楚歌状態の松本人志氏をX(旧Twitter)上でも応援し続ける、現時点では少数派ともいえる文化人のひとりだ。
そんな物言う作家による、松本が文藝春秋を提訴したことを受けての直言コラム。
性加害疑惑に対する客観的な事実認定がなにひとつされていない状況で、活動休止状態に実質上は追い込まれたといっていい松本、そんな松本個人に法廷闘争を背負わせた吉本などを見て、言葉にせずにはいられない思いとは?

ジャニーズ問題に通じる掌返しぶり

 文藝春秋の創業者の菊池寛さんが、雑誌「文藝春秋」の創刊時(大正12年)に記した言葉を引用したい。

〈私は頼まれて物を云うことに飽きた。 自分で、考えていることを、 読者や編集者に気兼なしに、 自由な心持で云って見たい。 友人にも私と同感の人々が多いだろう。 又、私が知っている若い人達には、 物が云いたくて、ウズウズしている人が多い。 一には、自分のため、一には他のため、 この小雑誌を出すことにした〉

 日本の文芸界における最高峰といえば、芥川賞と直木賞である。のちにそうした名誉ある賞を手がけることになる創業時の文藝春秋が、今の「週刊文春」を見てどう思うだろうか。すまぬ……いらぬお世話であった。

 今、文芸だけ書いて食えてる小説家は、日本に30人もいないだろう。だが、私はデビュー前から考えると、25年近く小説を書き続けている。それだけの期間書いていると、小説が好きとか嫌いとかいう感覚は一切ない。ただ、こんなことをふと思う。人の何倍も寝る間を惜しんで働き、その隙間に熱を出しながら小説を書いていると、合理的に考えて、オレは一体、何をやっているのだ……と虚無感に襲われるのである。

 それほど文芸はもう衰退しているのだ。

 だが、私は他人にどう思われようが、小説を書く筆を折るつもりはない。そこには筆舌に尽くし難い意地もあれば、人を批難するような記事で感動などは生まれないと理解しているからだ。

 クリエイターとして作品づくりを考えたとき、すべてのスタートは文字から始まる。文芸に限らず、映画であったとしても、ドラマであったとしても、作品の立ち上げは文字から始まるのだ。お笑いのネタ作りでもそうだろう。そこから笑いが生まれたり、感動が生まれたりしていくのである。

 世の中には、さまざまな物書きがいるが、その中で、一番地味でお金にならないのが小説家だろう。だが、物書きの最高峰に君臨するのも小説家だと私は自負している。文字数にして1冊約10万文字の戦い。1行目から走り出し、本当にゴールインできるのだろうかと誰しもが抱える煩悩であるのだが、だからこそ生まれる物語には魂が宿るのではないだろうか。 

 そして私はどれだけ謙遜しても、もうこれは敵わないという小説家はいない。だからこそ、見ていろよと思いながら、文芸を書くために筆を握っているのかもしれない。

 前置きが長くなった。本題に入ろう。

 ダウンタウンは、これまで吉本興業に対して、多大なる貢献をしてきたはずだ。だからこそ、吉本内でダウンタウンに物言える人物はいなくなったのだろう。

 それはテレビ局においても同じだ。それがなんであろう、この掌(てのひら)の返しっぷりは。頻繁に後輩芸人を使い女性を集めて、性的行為などを強要していたのではないかと、文春が報じれば、まるで潮が引くかように、すべてのテレビ局は松本人志こと松ちゃんから目を背けてみせた。片側の言い分のみが流されている段階で、ネットはまるで松ちゃんのことを犯罪者扱いである。

 どこかの知識人とやらは、松ちゃんに対して、やましいことがなければ記者会見を開くべきと息巻いてみせたが、そんなことを軽々しく口にするような人たちは性根が悪いのだろう。確かに見てる分には、人気者が晒し者となる記者会見はおもしろいかもしれない。

 だが、昨年行われたジャニーズの記者会見を目の当たりにして、あのような場で自身の主張を展開しようなどと思えるか。私が同じ立場ならば、それだけは絶対にしない。多勢に無勢の中、攻撃的な姿勢で揚げ足を取られ、晒し者にされるだけだからだ。

 逆説的にいえば、仮に悪意をもって週刊誌に嘘を書かれた場合でも、名誉毀損された側は記者会見を開くという大きな負担をしいられなければならないのか。そんな義務などどこにもないし、それこそ、報道による二次被害を生むこともあり得るのではないか。

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