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『インフォーマ』に続く快作『ブラザーズ』誕生…コンプラ時代を逆行する男たちの魅力

『ブラザーズ』(画像は沖田氏のXより)

サイゾーから出版され、ドラマ化もされた『インフォーマ』『インフォーマ2』を放ってきた沖田臥竜氏が新作を発表する。タイトルは『ブラザーズ』(角川春樹事務所)。同氏が得意とするアウトロー小説で、舞台は現代。コンプラ時代に逆行しつつ生きる男たちの生き様が、さまざま呪縛にとらわれている読者たちの心をも晴らす快作だ。リリースを直前にし、沖田氏自身が同作への想いを綴る――。

3作品同時進行から生まれた物語

 ところでだ。日本はそんなにも不景気なのか。株価はこんなに上がっているではないか。

 去年の夏、オレは小説2冊とマンガの原作を書き下ろしていた。同時進行であるぞ。

 どうなると思う? 3作品を同時に書いているとどうなると思う? 教えてやろう。登場人物を書き分けるだけで、もう訳がわからなくなってしまうのだ。何十人もの名前を考えて、そこに個性や設定という色を活字でつけていかなくてはならないのだ。昔は小説を書き下ろすだけで、帯に「書き下ろし」と書かれて特別扱いされたほど、大変で価値が合った作業なのだ。

 それがどうだろうか。書き下ろしても誰も褒めてくれないではないか。1冊10万文字だぞ。なんだったら、その裏で、ホラー短編映画の脚本の叩きも2本、友達のために書いていたのだ。嘆いたさ。嘆かずにいられるか……。

「これだけ働いても誰も褒めてくれない……」

 そんな自分に電話の向こうで、講談社の友人がこう言ってくれた。

「沖田さんは頑張っていますよ!ボクで良ければいつでも褒めるんで電話くださいよ」

 心に沁みたよ……。で、これだけ働いて、あろうことか、今でもまだ休まずに原稿を書いているではないか。本当は軽井沢あたりで優雅に暮らしてんじゃなかったの? マジでこれだけなの? ……はっ!まさかこれも岸田のしわざなのか⁈

 すまぬ。少々、取り乱してしまった。実際、本を16冊も17冊も出すと、そんなことでは儲からないことを知っている。もうね、オレが言っちゃうよ。ぶっちゃけ、小説で書きたい世界観とかどうでもよい。もう銭だけ。銭をくれるなら、世界観なんてどうでいいよ。

 いや、黙れ黙れ。そう言いながら、オレは23年間小説を書いているのだ。本当に銭のためだけならば、とうの昔にやめてるよ。小説の原稿料や印税を聞けば、ドン引きするぞ。もう時期、小説家は天然記念物の対象になったりしないだろうな。

 ただ、実際これくらい書くと、物語を生み出す力とかおもしろさは誰にも負けないと思えてくるのだが、それも束の間。なんなの「呪術廻戦」。一応、流行っている作品には目を通すようにしてるのだが、今さらながらチェックした「呪術廻戦」、バカおもしろいじゃん。オレが1番すごいと自分に言い聞かせている中で見た「呪術廻戦」は、オレの心を見事にへし折ってくれた。オレもいっそのこと呪術師になりてえな。そしたら小説家を救ってやれるのに……。

 前置きが長くなったが、では本題である。暮れに小説『インフォーマ2』(サイゾー文芸)が発売され、2月29日には小説『ブラザーズ』(角川春樹事務所)が発売される。

 確かに『呪術廻戦』を読んだときは驚いたが、本当にすまない。『ブラザーズ』に筆を入れ直しながら読み返した時には、我ながらびっくりさせられた。一言で言うとおもしろかったのだ。

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