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『アンメット』は若葉竜也にとって“最後の地上波連続ドラマ”になってしまうのか

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杉咲花(写真/Getty Imagesより)

 カンテレ・フジテレビ系で月曜夜10時に放送中のドラマ『アンメット ある脳外科医の日記』での俳優・若葉竜也の演技が好評だ。

「モーニング」(講談社)で連載中の漫画『アンメット -ある脳外科医の日記-』を原作とするこのドラマ。不慮の事故によって記憶障害となった脳外科医・川内ミヤビ(杉咲花)が、患者と向き合いながら、自分自身も再生していく物語だ。若葉竜也は、アメリカから帰国した脳外科医・三瓶友治を演じている。

 あまり感情を見せることなく、淡々と話す三瓶はいわば変わり者。何を考えているかまったくわからない様子ながらも、いざ急患が入れば冷静に対応、ミヤビに的確なアドバイスをするなど、まさに天才医師といった様子だ。そんな三瓶をどことなくチャーミングさを醸し出しながら、ミステリアスに演じているのが若葉である。

 大衆演劇の一座を営む家族のもとに生まれ、幼い頃から舞台に立っていた若葉は現在34歳。若かりし頃は多くのテレビドラマにも出演していたが、昨今は映画を中心に活躍中。代表作は『葛城事件』(16年)、『愛がなんだ』(19年)、『あの頃。』(21年)など。今年は主演作『ペナルティループ』が公開された。杉咲花とは、NHK連続テレビ小説『おちょやん』(20年後期)や映画『市子』(23年)などで共演している。

「若葉さんは、作品に対するこだわりが強く、しっかり脚本を読んでからオファーを受けるかどうかを判断するタイプですね。スポンサーの意向や視聴率によって内容が変わってしまう可能性がある民放局の地上波連続ドラマについては、消極的だと言われています」(ドラマ関係者)

 今回『アンメット』に出演するにあたっては、脚本会議に参加したり、撮影方法についてのアイディアを出したりなど、細部にわたって打ち合わせをしたうえで撮影しているとインタビューで話している。

「若葉さんのこだわりは実際、制作現場に反映されていて、地上波ドラマとしてはかなりクオリティーの高い作品になっています。そもそも若葉さんが地上波ドラマで見られるというだけでも貴重なことですし、普段あまり地上波ドラマを観ない映画ファンや、配信ドラマのファンも納得できるような作品になっているのは間違いないでしょう」(同)

 そんな若葉だが、初回が放送された4月15日には、ドラマの宣伝として、フジテレビ系情報番組『めざましテレビ』『めざまし8』に生出演。ここでの態度が無愛想だったとして話題になってしまった。

「主演の杉咲さんのほか、共演の生田絵梨花さんと一緒に、ワイドショーに出ていたんですが、そういった場に慣れていないこともあってか、一見やる気がないような雰囲気だったのは確か。質問されても“特にないです”と答えるなど、かつて記者会見で“別に”を繰り返した、沢尻エリカの再来だとも言われてしまいました。ただ変わり者の脳外科医という役柄を考えれば、“あり”な態度だったのでは」(テレビ局関係者)

 バラエティータレントではなく、演技にこだわりを持つ俳優だということを考えれば、番宣で無愛想だったとしても、決して悪いことではないという見方もある。以前より若葉の作品を数多く観ているという東野幸治は、ラジオ番組『東野幸治のホンモノラジオ』(ABCラジオ)で、若葉の番宣での態度について、「愛想なんて振りまいてほしくない」「これこれ! いつまでもこうやっていてほしい」とコメントしている。

「東野さんの発言は、俳優が表現する場は映画やドラマであり、ワイドショーで愛想を振りまく必要はないという意図です。演技に最大限の熱を持っている若葉さんに、番宣での態度をアレコレ言うのは、ピントがずれているということですね。むしろ、自身のスタンスを崩さなかった若葉さんは、この騒動で俳優としての評価を高めたとも言えると思います」(同)

 とはいえ、民放の連続ドラマにあまり出演していなかった若葉にしてみれば、珍しく出演したワイドショーでの態度が槍玉に挙げられるのは、不本意なことだろう。

「せっかくいいドラマを作っているのに、作品とは関係ないところで妙な話題になってしまうと、また民放の地上波ドラマから離れていく可能性もあると思います。また、Netflixのランキングでは、TBS系『アンチヒーロー』と並んで上位に食い込んでいますし、目が肥えたドラマファンからは好評ですが、世帯視聴率は初回が6.0%、第2話が5.7%(ともにビデオリサーチ調べ、関東地区)と、そこまで芳しいものではない。

こだわっていいドラマを作っても、地上波という枠組みの中では、視聴率という尺度があるせいで正当に評価されない現実もあるわけです。そういったなかで若葉さんが、地上波ドラマに対してある種の絶望感を抱くこともあるかもしれない。この『アンメット』が若葉さんの出演する最後の地上波ドラマにならなければいいのですが」(同)

 若葉竜也の演技が見られる地上波ドラマとして、本当に貴重な作品となるかもしれない。

浜松貴憲(ライター)

1980年生まれ、東京都出身。大学卒業後、出版社に入社。その後、いくつかの出版社を渡り歩いた末に、現在はフリーライターとして、テレビ番組、お笑い、YouTubeなど、エンターテインメント全般について執筆している。

はままつたかのり

最終更新:2024/05/06 09:00
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