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『ドアの向こうのカルト』著者インタビュー

ベンチャー企業もカルト!? 元「エホバの証人」ビジネスパーソンが語る“社会の中の洗脳”

――しかし、一般のキリスト教は、エホバの証人ほど過激ではありません。

佐藤 カトリックは、いわば大企業病のようなもの。競争の必要もないし、結束力も求められない。「なんとなくやっていればいい」ので、平和に見えるんです。しかし、その本質にはサタンへの恐怖があります。

――キリスト教はそもそも抑圧的で排他的な宗教である、ということ?

佐藤 キリスト教というよりも、一神教といったほうがいいでしょう。イスラム、ユダヤ、キリスト、すべて神は一人です。自分たちの神が一人である以上、他の神が神であるわけがない。一神教には、他のものを排除する性質が秘められているんです。

――戦争のような政治的な問題のほかに、佐藤さんが活躍しているビジネスの世界ではどうでしょうか? エホバでのスピーチは、ビジネスの現場でのプレゼンテーションの練習に役立ったと書かれていますね。

佐藤 そのような、ビジネスの現場で役に立つスキルを得られたことも確かです。また、構造として、ブランディングやマーケティングというのは、少なからず宗教のような「洗脳」という要素がありますから、その方面を理解する上でも信者だった経験が役に立っています。

――ブランディングが洗脳?

佐藤 自らの思想や価値観、哲学を付加価値として売るというロジックですから、軽い洗脳ですよね。

――確かに“アップル信者”なんていう言葉もあります。

佐藤 ベンチャー企業は、その典型例でしょう。例えば、かつてのライブドアはYahoo!に勝つために、「ライブドア以外は敵」として社員の結束力を高めました。その結束力によってハイになり、突き進む。そういう意味では「信者以外は、すべてサタンに支配されている」というエホバと変わらないんです。その結束力の中心になるために、ベンチャーにはホリエモンやスティーブ・ジョブズといったカリスマ経営者が求められるんです。

――エホバの信者であったことを、後悔している部分はありますか?

佐藤 後悔していた時期もありますが、トータルで考えて、自分なりに意味があったんだろうと考えるようにしています。過去を悔いるよりも、この経験からどういうことを教訓として学べるかが大切だと思いますね。

――ただ、それにしては25年間という年月は長すぎます。また、佐藤さん自身、「高等教育を受けることを推奨しない」という当時のエホバの方針から、大学進学もあきらめましたよね?

佐藤 子どもの頃からエホバが当たり前だったので、25年間が長いかどうかもわかりません。それに、人生、手持ちのカードに文句を言っても始まらないでしょう。宗教の時代に得た物事の考え方や人の意識の捉え方は、Yahoo!で働いていた時代や、東京ガールズコレクションを立ち上げる際などのビジネスに応用できています。大切なのは、後悔しながら過去に生きることではなく、自分が今持っているカードをどのように未来に生かすかだと思います。
(取材・文=萩原雄太[かもめマシーン])

●さとう・のりまさ
1971年広島県生まれ。少年期の大半をアメリカで過ごす。Yahoo!を経て、ブランディング社で東京ガールズコレクション等のプロデュースを行う。2010年に事業戦略のコンサルとして独立。現在はロス在住。著者に『給料で会社を選ぶな!』(中経出版)がある。

最終更新:2013/02/19 16:00
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