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『ヒプノシスマイク』コミカライズに傷心のオタクはどう立ち直ればいいのか?~心理学の名著を読み解く~

文=石徹白未亜

傷心のオタクがすべき弔いは「Twitterのフォローをひたすら外すこと」

【方法(1)】「昔の男」に慰めてもらう

【考察】問題の本丸からは逃げているわけで『対象喪失』の推奨ルートから外れているのだが、今回のヒプマイのように「(百瀬氏の脚本に)嫌になって」ではなく「嫌になったわけじゃなく、流行っている他ジャンルに目移りしただけ」という状態で別れた「昔の(ジャンルの)男たち」には今回大きく慰められた。また、過去にどっぷりはまった萌えを見ることで、今ヒプマイで消沈している気持ちもいつかは平気になるんだろうと、と冷静になれる点もある。

 なお、現在のジャンルに失望し「あのジャンルはやっぱりクソだった、あ~、やっぱりここは落ち着く、ファンの民度も高いしww」と現ジャンルに砂をかけて旧ジャンルに出戻る人は嫌われるし、何よりこれでは過去の脚色になる。今はクソなのかもしれないが、過去に愛したのも事実なのだ。過去をありのままに的確にとらえる姿勢が弔いにおいて重要なポイントになる。

【方法(2)】ネットで愚痴サイトを見て心を慰める

【考察】「ヒプマイ 降りる」と検索すれば、心から血を流し苦しむ同胞を簡単に見つけられる。ただ、「降りるって言ってるやつデベソ」的荒ぶった発言も多く、ただでさえすさんで傷ついた捨て猫のような心がさらに傷つくこともあるため、むやみには推奨できないルートだ。

 しかし、匿名掲示板で「好きになったことを後悔している」という発言を見たときは心を打たれた。同じ気持ちで苦しむ人の端的な表現を見ると目が覚めるような気持ちになれる。

【方法(3)】オタ友に愚痴り心を慰める

【考察】愚痴ろうと思っても自分の中でこんがらがったものが強大すぎて、結局「とても つらい」と横山光輝による漫画『三国志』の霊帝みたいなことしか言えなかったのだが、それを黙って聞いてくれた友人には感謝している。方法(2)と比べるとやはり方法(3)は強い。仮想世界に半日いるより、目の前の生身の人間に一言話す方が、成仏されていくものの質量を大きく感じる。このあたりはネット民大敗北であり、ネットが不得手なところだろう。

 ただし当然、人選は重要だ。目の前の人間に鼻で笑われようものなら、ネットで同じことをされるよりも五億倍のダメージを食ってしまうだろう。

【方法(4)】Twitterで「同担」は極力カットする

【考察】思えばヒプマイにはまったきっかけもTwitterだった。前のジャンルにはまっていたころ、前のジャンルの神絵師たちがヒプマイの二次創作を投稿しだして、当初は「推してるジャンル以外の、特に新興ジャンルの絵を見ると、なんだかそっちに神絵師が行っちゃうみたいでイヤ」と否定的だったのだが、私の意志などクリムゾン氏の漫画に出てくる女剣士以上に弱く、2週間後にはあっさり私も釣られていた。

 新しいジャンルにはまりたての時期に、この人は絵がかわいい、この人は漫画が最高、この人は考察が冴えてる、とあれこれフォローして自分のデッキを作っていくときは、脳内からシャブと同じ成分の汁が出ているといわれても納得するくらい「ガンギマリ」状態だ。そうやってフォローした人の中には今回のコミカライズについて「これもこれでアリだよねww」みたいな強がり発言をしている人もいて胸が痛んだ。

 なまじヒプマイ同人において成功した人ほど「弔い」は余計きついのではないだろうか。これは99%「金が惜しいんだろ?」という意味ではない。同人で金儲けができる人など1%もいない。金ではなく、ヒプマイが供給を絞った長い間、あれこれ考えた考察や漫画などが評価された二次創作作家の場合、コンテンツから降りようとすれば「愛したコンテンツを失う」に加え「そのコンテンツで得た自分の名誉やつながりまでも失う」ことになるのだ。「●●さんの漫画で号泣しました……」「**(キャラクター名など)といったら●●さんですよね!」みたいなことを言ってくれるフォロワーを失うのだ。これはさらにハードな喪失体験だろう。

 ただ、しかしこれは百瀬氏にしてみたら「知らんがな」というのもよくわかる。二次創作がどうなろうが公式になんら責はない。「ヒプマイといったら百瀬さん」なのであり「ズレ」は二次創作の宿命だ。しかし供給を絞り続けオタクの集団をほったらかしにしておけば、つぶやきが次のつぶやきを呼んでアメーバ的に増殖し、AI並みの働きを見せてしまうのは公式とて想像できたはずだ。

 なぜそこまで発酵させた末に、満を持してあのコミカライズを供給してしまったのだろう。「極力何もしない」で長年成功をキープしている『刀剣乱舞』という事例もすでにあったというのに、なぜ死に急いだのかが不思議でならない。やはりヒプマイはファンに向けてではなくプリンスに向けたやたら金のかかった接待なのかもしれない(※臆測です)。

 話を戻すと、Twitterを見ている限り私は未練をひきずりそうなので「あまりつぶやかず、フォローを外すには漫画が神過ぎる」二次創作作家を3人残し、あとはフォローを外した。「あまりつぶやかず」がポイントであり、そういう人しかフォローしていなければおのずとTwitterに常駐しなくなっていく。なのでツイ廃気味な人をフォローしている場合、いくらオキニの絵師であっても、弔いを最優先する場合は切った方がいいだろう。

【方法(5)今後のオタクとしての在り方を考える】

【考察】方法(4)と絡むが、Twitterの依存が進むと、どうしても今流行っているジャンルにはまってしまう傾向が私にはある。新しいものは未知ゆえに魅力が底上げされるし、流行っているジャンルにはまっているときの、厳選フォローが日々ほっといても織りなす自分のタイムラインを眺めるときの多幸感といったら合法ドラッグといってよく、コカインいらずで全然飛べる。

 しかしこの楽しさにうつつを抜かしていたら公式がとんでもない爆弾を持ってきたのが今回の「ヒプマイ事変」だ。「百瀬祐一郎氏って過去にどんな話を書いていたの? 信用して大丈夫なの?」という視点が抜けていたのだ。

 現在進行形で続くライブ感は楽しいが、ライブである以上、裏切られる可能性もある。そしてそれはとてもつらく、また似たようなことを繰り返したら学習しない自分自身にもうんざりしてしまうだろう。がっかりするのはもう今回で十分だ。

 ライブ感がなく寂しくはあるのだが「もう作品は終わっていて、一定数以上評価も得ているものにはまるようにする」安全策も今後は取り入れていきたい。ヒプマイはそもそも、始まってすらいない段階ではまりすぎてしまったのだ。今後は何かにはまるときは必ずシナリオ担当者を確認し、前作の評判などを確認、ルーキーや経験の浅い人の場合はいきなりどっぷりはまらないよう、慎重にいこうと思う。また、Twitterはどうしても流行っているものが物量で押してきてよく見えてしまうので、Twitterはオタク活動には極力使わないようにしていきたい。

 * * *

 以上、(1)~(5)までいろいろ試してみたが、どの方法もいい点はあった。弔いの際に少しでも役に立てば、コミカライズが出て年末年始と2年がかりで落ち込んでしまった私も浮かばれる。最後に百瀬氏はぜひ改名などせず活動を続けてほしい。「この人がかかわっていたら絶対手を出さないリスト」に加えられないからだ。

(文/石徹白未亜 [http://itoshiromia.com/])

◆石徹白未亜の過去記事はこちらから◆

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最終更新:2019/04/03 13:19
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