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『幻の哀愁おじさん』発売記念インタビュー

岩井ジョニ男、コスプレだった“おじさん”が本当の“おじさん”になった日

撮影=尾藤能暢

 いま「おじさん」は、かつてないほど苦境に立たされている。ズレた発言、ズレたLINEは即さらされ、世間から厳しいジャッジを受ける。そんな中、インスタでの「昭和おじさん」っぷりが話題を呼び、このたびフォトブック『幻の哀愁おじさん』(文藝春秋社)を出版することになったのが、浅井企画所属・イワイガワの岩井ジョニ男だ。三つ揃えのスーツにくたびれた革のカバンを抱え、びっちり七三分けのちょびひげで東京にたたずむ。芸人界最後の秘宝、岩井ジョニ男に聞く、「愛されるおじさん」の作り方。

***

――以前、日刊サイゾーで、ずん飯尾さんのインタビューをさせていただきまして(参照記事)。

岩井ジョニ男(以下、ジョニ男) え! この前も一緒に野球見に行きましたよ。出川(哲朗)さんと3人で。おじさん3人で、はしゃいじゃいましたね。飯尾さんとは普段から仲がよくて、よく飲みに行くんです。

――同じ事務所だからでしょうか、お2人にはなんかこう近いものを感じます。

ジョニ男 そうですね。やっぱり伝統なんですかね。関根(勤)さんも小堺(一機)さんもキャイ~ンさんも、みんなそうなんですよ。

――温かい、人を傷つけない笑いというか。

ジョニ男 人を傷つけない……それはありますね。そういう人が偶然集まったのかもしれないんですけど。争いごととかが本当嫌いなんです。みんなで助け合って、結果みんなで溺れちゃうことのほうが多いんですけど。

――コントですよね(笑)。

ジョニ男 笑っちゃう。でも、「受けなかったけど全力でやったからね」っていう暗黙の了解があるんですよ。仕事終わった後のレモンサワーの味がね……違うわけですよ。

――レモンサワー?

ジョニ男 スベった時は、すごい酸っぱい。でも、そもそも何もなかった時は味がわかんないから、味がするってことはまだいいんだよ、って。

――レモンサワーの味に響いてくるわけですね、今日の仕事は。

ジョニ男 そうなんです。それはレモンサワーですね、やっぱり。あの酸っぱさを感じたいっていう。

――『幻の哀愁おじさん』拝読させていただきました。こちらもまた、甘くて酸っぱい。

ジョニ男 本当にみなさんのお力で、なんとか形にしていただけました。

――今「おじさん」というものが、非常に生きづらいと言われております。何かあると「○○おじさん」とひとくくりにされたり。おじさん独特のLINEをネットにさらされたり。

ジョニ男 そういうのあるんですか!? ドキッ。これは気をつけなきゃいけませんね。

――おじさんが嘲笑の的になりがちな世の中で、若い女性たちがジョニ男さんを「おじさん、めっちゃかわいい」と歓迎しているのです。

ジョニ男 お笑いでワーキャー言われたことは1回もないですよ。お客さんは、とにかくおじさん。家族連れには声かけられたことありますけど。たぶんそれは『ピタゴラスイッチ』(Eテレ)の影響で。ライブ出待ちのワーキャーはゼロですよ。

――ちなみに、ライブの出待ちには、どんな方がいらっしゃるんですか?

ジョニ男 悩んでる方……でしょうか。まれにですが、「いろんな宗教に行って最後警察にも相談したんだけど、解決しなかったから、ジョニ男さんにお願いします」って……。

――ど、どういうことですか?

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