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簡単に酔えるタブーなお酒【1】

吉澤ひとみ&とろサーモンも人生を棒に!? タブー過ぎる酒「ストロング系チューハイ」完全レビュー

テキーラ飲むより安い! 圧倒的コスパ実現の背景

 まず、「ストロング系はアルコール度数が高いから悪酔いする」というならば、もっと度数の高い酒はいくらでもある。それではストロング系特有の危なさとは一体何なのか?サイエンスライターのドクター・クラレ氏は、こう解説する。

「私がストロング系についてもっともよくないと思っているのは、ゴクゴクと何本でも飲めてしまうような味に調整していることです。例えば日本酒に焼酎、スピリッツなどを原液で飲むのがキツいという人も、ストロング系ならジュースのように飲める。なぜこんなことが実現できたかというと、液糖(ガムシロップ)や、アセスルファムK、スクラロースといった人工甘味料をガンガン使用しているからです。ゴクゴク飲めるというのは自制が利かなくなっている状態ともいえるので、酒を楽しむというよりは酔うことを目的にしていますよね。しかも安い。これをドラッグと言わずして何といいますか」

 甘く口当たりのよい人工甘味料によってアルコールの度数を意識させないということだが、一方でストロング系に大量に添加される液糖や人工甘味料に危険性はないという。

「誤解されがちですが、人工甘味料の安全性はかなり高いんです。実用に至るまで長期にわたる実験や厳格なチェックを経ていますし、そもそも人工物には1日あたりの摂取許容量というものがきちんと定められていて、実際に製品へ添加されるのはさらにその100分の1程度。なんなら塩のほうが毒性は強いともいえます」(ドクター・クラレ氏)

 あくまでも、人工甘味料は飲みやすい甘さを提供しているだけ。ところで、ストロング系の中には液糖や人工甘味料が入っていながらも、「糖類ゼロ」を売りにする製品も多く、かのストロングゼロの名前もそこに由来する。これは一体どういうことなのだろうか?

「これも誤解されていることのひとつなんですが、糖類ゼロは単純に『砂糖じゃなくて人工甘味料を使っています』という意味なんです。まるで健康的であるかのように宣伝することも、よくないですね。また、人工甘味料はコストも安いという側面を持つので、ストロング系の低価格は糖類ゼロによって達成されているともいえます」(同)

 人工甘味料のおかげで実現できた、飲みやすさと低価格。ちなみにNHKの『ニュースウオッチ9』が調査したところによると、200円以下の500ml缶のストロング系(アルコール度数9%)に含まれるアルコールの量は1本あたり約36gで、これはテキーラのショットグラス約3・75杯分に相当するという。パブでテキーラのショット1杯を飲むのに500円近くかかると考えれば、圧倒的なコストパフォーマンスである。

 だが、その飲みやすさと低価格は、時に深刻なダメージを負うことにもつながる。例えばコンビニでストロング系を安価で購入できるということは、アルコール依存症の患者にとって、なによりの弊害になっているという。久里浜医療センターでアルコール依存症の患者を専門に診ている横山顕医師は、そのリアルな現状をこう話す。

「アルコール依存症の臨床をする際は、まず直近1年間の飲酒量を聞きます。いちばん飲むお酒は何か? その度数は何%か? 缶の種類は350mlか、それとも500mlか。ここで缶チューハイと答える患者は、全体で見ても3分の1は確実に占めています。また、チューハイの度数といえばかつて6~7%が主流でしたけど、ストロング系が登場してから状況は一変しました。ここ4~5年間では、患者のほとんどが9%の製品を選択しています。約1・5倍になったわけですよね。これは非常にマズい。全体の飲酒量mlは変わらないのに、アルコールの度数だけが高くなっているわけですから」

 厚生労働省が定義する「生活習慣病のリスクの高い飲酒量」は男性で1日あたり純アルコール量40g以上、女性で20g以上だ。量の算出方法は「摂取量(ml) ×度数/100×0・8(比重) 」となっている。先ほども触れたが、度数が9%であれば500ml缶で36gに達してしまうため、女性はたった1本で危険水域に達することとなる。男性でもリミットギリギリだ。

「全体で見れば日本人の飲酒量は減っているかもしれませんが、アルコール依存症の患者に限っていえば、ストロング系の台頭によってひとりあたりの飲酒量が確実に増えています。また、これらのチューハイが一般的となったことで、これから飲酒を始める世代や、すでに患者予備軍となっている人たちの飲酒量も底上げされているはずです」(同)

 昨年7月にはサンガリアが「スーパーストロング12」という、アルコール度数12%の新商品を投入し、9%が主流の時代に風穴を開けようとしている。なお、ストロングゼロの発売は2009年(当初はアルコール度数8%)であり、ちょうど今年で10周年を迎える。発売当時の新成人が、社会の中核を担う30代へ突入することとなり、平成の終わりと共に世は“ストロング世代”の全盛期へと差しかかろうとしているとも言えよう。

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