日刊サイゾー トップ > 連載・コラム > パンドラ映画館  > チョウ・ユンファが香港で大復活
深読みCINEMAコラム【パンドラ映画館】Vol.569

”伝説の男”チョウ・ユンファが香港で大復活ッ!!  偽物だけ愛する『プロジェクトグーテンベルク』

文=長野辰次(ながの・たつじ)

チョウ・ユンファが見せる狂気性と人懐っこい笑顔

アジア圏で絶大な人気を誇るチョウ・ユンファとアーロン・クォックががっつり共演。2大スターが見せる、男同士の奇妙な友情の行方が大きな見どころとなっている。

 チョウ・ユンファは裏社会で暗躍する「画家」をカリスマ性たっぷりに演じている。贋札づくりの犯罪組織を抜群のリーダーシップで統制し、紙幣を刷るための特殊インキを入手するためなら、強硬手段も厭わない。冷酷な一面を見せる一方、人気アーティストになったユンのことが忘れられずにいるレイに対しては「大金持ちになって、ユンを取り戻すんだ」とお節介を焼く。なぜ、画家はレイがユンと復縁することにこだわるのだろうか? 観客はそんな疑問を覚えながらも、画家のミステリアスさに魅了されることになる。

 香港映画界で伝説のスターとなったチョウ・ユンファの存在感が、そのまま画家役と重なり合う。重火器を両手に持ち、逆らう敵は容赦なく殺戮する狂気性と気を許した仲間に見せる人懐こい笑顔と男臭さ。往年のチョウ・ユンファそのものだ。また、画家は自分のことを「女を必要としないレアな存在」と自称しているが、同性であるレイにプラトニックな想いを抱いているのだろうかなどと深読みしたくなる面白さもある。

 偽物にはどんなに努力して本物そっくりになっても、どうしても本物にはなり切れという哀しみがある。その哀しみは、片想いのせつさなにも似ている。どんなに愛する人のことを想っても、その想いは愛する人には永遠に届かない。画家と行動を共にするようになったレイは、やがてタイの「ゴールデントライアングル」で出逢った女性・シウチン(ジョイス・フォン)を愛するようになる。シウチンは自分はレイの別れた恋人の代用品だと分かりながらも、レイを支えようとする。贋札づくりに没頭し続けたレイは、いつの間にか偽物しか愛せないようになってしまっていた。

「偽物も心を込めれば本物に勝る」という画家の言葉は、本作のメインテーマだ。潜入捜査するうちに、義理と人情に縛られていく男たちの葛藤を描いた『インファナル・アフェア』の脚本を手掛けたフェリックス・チョン監督らしい内容となっている。アジアにつくられた西洋の街である香港ならではの、いい意味での伝統的B級感も作品全体から感じさせる。

123

”伝説の男”チョウ・ユンファが香港で大復活ッ!!  偽物だけ愛する『プロジェクトグーテンベルク』のページです。日刊サイゾー芸能最新情報のほか、ジャニーズ/AKB48/アイドル/タレント/お笑い芸人のゴシップや芸能界の裏話・噂をお届けします。その他スポーツニュース、サブカルチャーネタ、連載コラムドラマレビューインタビュー中韓など社会系の話題も充実。芸能人のニュースまとめなら日刊サイゾーへ!

ページ上部へ戻る

人気連載すべて見る

元木昌彦の『週刊誌スクープ大賞』

「週刊現代」「FRIDAY」の編集長を歴任した"伝説の編集者"元木昌彦による週刊誌レビュー

“キング・オブ・アウトロー”瓜田純士、かく語りき

“キング・オブ・アウトロー”瓜田純士の最新情報をお届け! 嫁・麗子も時々登場。

テレビウォッチャー・飲用てれびの『テレビ日記』

テレビの気になる発言から、世相を斬る!

じゃまおくんのWEB漫クエスト

マンガレビューブログ管理人じゃまおくんが、インターネットに埋もれる一押しマンガを発掘!

腹筋王子カツオ『サイゾー筋トレ部』

“腹筋インストラクター”腹筋王子カツオさんが、自宅でも簡単にできるエクササイズを紹介!

イチオシ企画

【PR】DYM・水谷佑毅社長の野望とは?

医師免許を持つ、ベンチャー経営者の異色の半生!
写真
特集

多様化する日本のHIPHOP最前線!

さまざまなアーティストが生まれ出るHIPHOPの最前線はこれだ!
写真
人気連載

印米中、常識破りのジャンクかた焼きそば

 シュプリームのコレクションに楽曲を提供し、...…
写真
インタビュー

YOAK広本敦さんインタビュー

 2月上旬に、ある女性がツイッターに投稿した発言が話題になった。その趣旨は「メンズレ...
写真