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ドラマ評論家・成馬零一の「女優の花道」番外編

医療ドラマは『恋つづ』の独り勝ち? 良作ぞろいの1月期ドラマを辛口総括!

『ゆるキャン△』(テレビ東京系)

 今期は深夜ドラマのクオリティが高く、良作ぞろいだった。

 中でも素晴らしかったのが『ゆるキャン△』(テレビ東京系)。新型コロナウイルス騒動で気が滅入っている中、一服の清涼剤として楽しめた。

 女子高生がキャンプするだけのたわいのないドラマなのだが、夜中に焚き火をしたり、カップ麺を食べるといった程よい非日常の冒険が、見ていてとても癒やされた。

 同時に心地よかったのが彼女たちの距離感で、ソロキャン(一人キャンプ)をする志摩リン(福原遥)と各務原なでしこ(大原優乃)たち野クル(野外活動サークル)のメンバーや、リンの友達・斉藤恵那(志田彩良)の関わり方。部活モノにありがちな無理やり仲の良さを押しつけてくる感じがあまりなく、かといって完全にバラバラというわけでもなくて、夜中にスマホでメッセージや写真を送り合うくらいの仲はほほえ ましく、今の若い子の空気を描けていると思った。

 先行するアニメ版のイメージをなぞるような演出も秀逸で、アイドルドラマの新境地を切り開いたと言えよう(参照記事)。

『コタキ兄弟と四苦八苦』(同)は映画『リンダ リンダ リンダ』や『ハード・コア』などで知られる山下敦弘が全話の監督を担当し『逃げるは恥だが役に立つ』や『アンナチュラル』(ともにTBS系)で知られる野木亜紀子が脚本を担当。

 レンタルおやじをなりわいとする古滝一路(古舘寛治)と二路(滝藤賢一)が主役のドラマで、毎回登場するゲストが豪華でコンパクトな作りながらも、見応えのある話となっていた。特に後半は喫茶店の看板娘・さっちゃん(芳根京子)の意外な実像が次々と明らかになっていく怒涛の展開から目が離せなかった。役者の見せ方が秀逸で、主演のおじさん俳優2人だけでなく、芳根も魅力的だった。

『伝説のお母さん』(NHK)は、『ドラゴンクエスト』を思わせるRPGの世界を舞台に、子育てに悪戦苦闘する魔法使いのメイ(前田敦子)を主人公にしたファンタジー。『勇者ヨシヒコ』(テレビ東京系)シリーズを思わせるゲームのあるネタを連呼する コメディのようだが、描かれるのは育児と世界平和の両立で悩まされる母親の苦悩で、いい加減な国王の政策に振り回される勇者たちの姿が社会風刺となっている。最後はやや中途半端だったが、こういう題材をコメディとして描いたことは評価したい。

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