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深読みCINEMAコラム【パンドラ映画館】Vol.584

死刑囚たちの告白『アイ・アム・ア・キラー』 Netflix充実の犯罪ドキュメンタリーシリーズ

文=長野辰次(ながの・たつじ)

Netflix

 Netflixはまるで人生のようだ。『テラスハウス」などの賑やかなリアリティー番組を楽しんだ後、その日の気分次第でNetflix自慢の犯罪ドキュメンタリーの数々を視聴することもできる。明るい世界から、裏社会へと足を踏み入れるのは簡単である。猛獣飼育者の裏の顔を追った『タイガーキング:ブリーダーは虎よりも強者?!』が話題を集めているが、Netflixは他にも社会の闇を扱ったドキュメンタリー作品が多い。今回は2020年に第2シリーズの配信が始まった『アイ・アム・ア・キラー 殺人鬼の独白』を紹介したい。

 Netflixシリーズ『アイ・アム・ア・キラー 殺人鬼の独白』は、獄中にいる殺人犯へのインタビューをフィーチャーしたドキュメンタリー番組だ。1話が50分程度で、殺人犯はカメラに向かって自分の生い立ちや事件当時の心境を語る。時折イメージ映像が盛り込まれ、さらに取材クルーは殺人犯の家族、被害者側の遺族、事件当時の内情を知る弁護士や警察官にも証言を求める。そして、番組の最後にもう一度刑務所を訪れ、殺人犯に家族や遺族たちの録音した音声を聞かせ、その反応をカメラに映し出すというのが番組の基本パターンとなっている。

 獄中にいる服役囚たちは、幼い頃から虐待され、育児放棄に遭った体験の持ち主であることが多い。第1シリーズの第1話「手段としての殺人」の主人公ジェームズもそのひとりだ。家族の愛情を知ることなく育ったジェームズは、家出少年となり窃盗で食いしのいだ。16歳のときに逮捕され、54歳になるまでずっとフロリダ州の刑務所で暮らし続けている。受刑者を人間扱いしない隔離房での生活が彼の性格をより歪め、2人部屋にいる際に同房の性犯罪者を殺害した。死刑囚の部屋には専用のテレビがあり、食事もいい。待遇のよい死刑囚専用房に移るための殺人だった。

 死刑が確定したジェームズが、唯一楽しみにしているのはテネシー州で暮らす従兄弟のマシューとの文通。マシューは結婚し、3人の子に恵まれた。年下のマシューだが、彼はジェームズの不幸な少年時代を知っている。ほんの少しボタンが掛け違っていたら、マシューも獄中にいたかもしれない。自分が死刑囚であることを知っても、手紙を送り続けるマシューに、ジェームズも心を開く。マシューの妻に「3人の子を育てるとは立派だ」といたわりの言葉を伝えるようになる。刑務所でずっと暮らしてきたジェームズは、文通を通して家族の温かさを知ることになる。

 やがてマシューたちは家族全員で刑務所を訪ね、ジェームズと面会することに。マシュー一家との交流によって、人間らしくなっていくジェームズ。だが、死刑判決は変わらない。人間の心をようやく持つようになった上で、処刑される日を待つジェームズ。「他人に不満を言う人生はもう終わりだ。告訴はしない」と語る。彼が番組のインタビューに応じたのは、自分が生きていた証しを形にして残しておきたかったからではないだろうか。

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