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週刊誌スクープ大賞

国民が自粛を強いられているとき、電通と癒着して税金を中抜きするなんて“こそ泥”以下のやり口だ!

 さて、アホがまたアホなことをいった。麻生太郎財務相が新型コロナウイルス感染症で、死者が欧米主要国に比べて少ないのは、「民度のレベルが違う」とほざいたのである。

 一瞬聞いたときは、日本人の民度が低いから、死者の数が少ないという意味だと思った。だってそうだろう、安倍政権はコロナ対策を何もしないのに、感染者も死者も少ないのは、「ジャパニーズ・パラドックス」といわれているように世界が不思議に思っているし、われわれ日本人にも全くわからないのだから。

 それとも麻生は、日本人は強制しなくても、自粛といえば唯々諾々とお上のいうことを聞く、御しやすい連中だといいたいのだろうか。

 新潮が報じているように、コロナの感染者や死者の少ないのは台湾、韓国、ベトナムなど、アジア圏で、日本だけが特別ではない。また、WHOも危惧していたアフリカ大陸も、感染者数が15万人弱、死者は4000人を超える程度で、アメリカやブラジルと比べると、感染は抑えられている。

 麻生はトランプいえるのか! 「お前さんのところは民度が低いから感染者が多いんだ」と。

 今週の第1位は、先週、新型コロナウイルス不況で困っている中小、個人事業者向けの「持続化給付金」の給付業務を国と契約した「一般社団法人サービスデザイン推進協議会」についての疑惑を報じた文春の第2弾。

 今や、新聞は文春のスクープの後を追いかけるだけの存在に成り下がっている。

 新聞はなぜ、特ダネ競争から脱落してしまったのか。黒川弘務東京高検検事長と賭け麻雀をするだけの存在になってしまったのか。

 誰でもいいから、新聞の堕落というテーマで書いてみてくれないかな。

 そういえば、今日の朝日新聞DIGITAL( 6月8日 13時55分)にこんなのが載っていたな。

「米紙ニューヨーク・タイムズは7日、黒人殺害事件に抗議するデモを米軍を使って鎮圧すべきだとする共和党上院議員の投稿をデジタル版で配信した問題をめぐり、オピニオン編集部のジェームズ・ベネット編集長が辞任したと発表した。配信は社内外で強い批判を浴びており、責任を取った形だ」

 この議員は、トランプ大統領の支持者だそうだから、同じようなことを書いたのだろうが、ニューヨーク・タイムズの論調とは明らかに違う。

 なぜこのようなものを掲載したのか? 社内からも多くの批判の声が上がった。 

 結局、編集長がこの原稿を読まずに上げてしまったことを認め、辞任したのだという。

 呆れるが、社内ですぐ声を上げ、真実を当人に語らせたのは、さすがである。

 黒川と賭け麻雀をしていた朝日の元記者と産経の記者2人の処分は、社内で異論が出なかったのだろうか。

 さて、私は以前から、電通という会社を国策会社だと考えている。国策会社というのはコトバンクによると、「満州事変後、第二次大戦終了までに、国策を推進するため、政府の援助・指導によって設立された半官半民の会社」である。

 もっとも電通側にいわせれば、「オレたちが国を操っている」というかもしれないが。東京五輪招致は、電通の人間がIOC理事に巨額の賄賂を渡して成功させたという疑惑が色濃くある。

 自民党の選挙広報のほとんどを担っているのも、原発の安全神話を作り出したのも電通である。それに安倍首相の妻・昭恵が結婚前にいたのも電通の新聞雑誌局であった。

 今さら、電通と安倍官邸、官僚たちとの“癒着構造”など珍しくもない。だが、今回、文春が報じたのは、新型コロナウイルス不況で困っている中小、個人事業者向けの「持続化給付金」の給付業務を769億円で国と契約した「一般社団法人サービスデザイン推進協議会」が幽霊法人で、97%、749億円分の事業が電通に丸投げされていたという疑惑なのである。

 お前たちはコロナまで利用して、金儲けしようとしているのかと非難轟々。

 この協議会を運営するのはAという元電通社員。文春によれば、この協議会は経産省の「おもてなし」事業を公募で落札しているが、「不可解なことに公募の開始日と団体の設立日が全く同じ日付」(代理店関係者)で、設立時に代表理事を務めていた赤池学も「経産省の方から立ち上げの時に受けてもらえないか」と打診を受けたと証言しているのだ。

 要は、経産省と電通との出来レースということだ。こんなことを、多くの国民が不自由な生活を強いられている時に、よくできたものだ。

 当然ながら、こうしたことをやるためにはキーパーソンがいる。それは、前田泰宏中小企業庁長官だと、文春は名指しする。ここは持続化給付金を所管しているし、前田の人脈の中にAもいる。

 Aは、「政府がコロナ収束後に向けて一兆七千億円という破格の予算を計上した需要喚起策・GoToキャンペーンの運営を取り仕切る」(電通関係者)ともいわれているそうである。

 同志社大学政策学部の真山達志教授のいうように、「電通などへの委託には不透明なところがあり、さらに役所と事業者の間に個人的関係あるならば、さらなる疑惑を持たれるのは当然」である。

 この疑惑についての報道も、テレビはほとんど「大手広告会社」としかいわない。この際、野党もメディアも、電通という巨大なブラックボックスをぶち壊す覚悟で、追及してもらいたいものである。

 電通にとって、安倍政権など吹っ飛んだって痛くも痒くもない。安倍の次の政権を同じように操ればいい、そう考えているに違いないからである。

 このところ駅で買う新聞は東京新聞と決めている。6月4日は「中小企業給付金 850億円 追加委託へ 2次補正で政府 契約継続方針 法人ずさん決算開示せず 電通隠し政府正当化」と報じ、5日は「電通に最大38億円 給付金業務『管理費』膨張」と、連日報じているからだ。

 国民が不自由な生活を強いられているとき、電通と癒着して国民の税金を中抜きしようなんて、こそ泥以下のやり口である。東京新聞に頼みたい。電通と安倍昭恵の黒い人脈を調べてくれないかな。元電通社員の昭恵を、電通が懐柔していないはずがない。昭恵担当という人間がいるはずだ。昭恵のことだ、何もわからず、「はいはい」と聞いて、役人たちに指示しているのではないか。そう思っているのだが。(文中敬称略)

【巻末付録】

 今週は現代だけ。

「『引き算』で考える性交術-快楽の本質に近づくために」「サイバージャパンダンサーズ、見参!-話題の『踊るギャル軍団』」「朝比奈祐未、一糸まとわぬ97cmヒップ-本誌認定『日本一の美尻スト』」。美尻ストとは考えたね。

 袋とじは「永岡怜子、神が宿るヘアヌード-ラスト写真集3冊同時発売!」。あまり私の好みではないが……、どうでもいいか、そんなことは。まあ、わざわざこれを見るためだけにコンビニに行くことはないかもね。

元木昌彦(編集者)

「週刊現代」「FRIDAY」の編集長を歴任した"伝説の編集者"。

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もときまさひこ

最終更新:2020/06/08 21:00
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