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あのスティーブ・ジョブズが崇拝した! ヒッピー時代にアメリカへ渡った禅僧の驚愕人生と素顔

家族と自分は救えなかった?

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「鳳雲弘文」と自身の道号を半紙に書く弘文。(写真/Nicolas Schossleitner)

――『宿無し弘文』に登場する証言者からの弘文の評価を見ると、元妻や娘といった家族からがもっとも低く、曹洞宗の保守的な人たちは時にやや懐疑的な評価を下し、弟子たちは絶賛する、というふうになっています。本を読み進めるうちに見え方が変わっていくのが面白かったのですが、家族と自分はどうにもできなかったのかなということが印象に残りました。

柳田 家族はしんどかったでしょうね。本気でやろうとしたら、宗教家と家族は両立しがたいでしょう。だから、釈迦も家を出て、家族を捨てた。本には出てこないんですが、弘文さんの甥御さんから話を訊いたときに、「おじちゃんも『いやぁ、ちょっと母ちゃんが怒ってるから、そろそろウチに帰るね』って言えればよかったのに」と漏らしていたんですね。でも、言えない人だったんです。

 こう言ってはなんですけど、弘文さんのお弟子さんたちは、アメリカの中でも格別面倒くさい人たちですよ(笑)。アメリカで禅をやっている時点で、ある種のはぐれ者です。でも、禅センターは全米にたくさんあって、一応、組織化されている。けれども、そういうところでは満たされない、この世の異類みたいな人たちがたどり着いた先が弘文さんのところだった。ジョブズもそう。そして弘文さんは、一度相談を受けたら、グーッとその人の話に入っていく。夜が来ようが陽が昇ろうが、「家で家族が待ってる」なんてことは考えない。それはお弟子さんたちにとってはたまらなく魅力だったけれども、家族は困ってしまった。

――弘文自身はあるがままに生きようとしていたように見えますが、伴侶に対しては「金銭を扱うな」「妻、母、家事以外のことはするな」と制約を付けて、家父長制的な男性として振る舞っていたように見えます。この点については意外でしたが、柳田さんはどう解釈していますか?

柳田 昭和13年(1938年)生まれですからね。そこは、どうしてもその世代の日本の男だったんでしょうね。外では大変な人たちと対峙しているわけですから、家に帰ってきたら甘えたい、安らぎたいという気持ちがあり、いつ家に帰ってきても女の人にいてほしくて「働くな」と言っていたんじゃないかしら。

 ただ、最初の奥さんはバリバリに生活力のある人だから、弘文がそう望んでも「稼ぎもないのに、どうやって食っていくのよ」と言って働いていた。ところが、再婚した奥さんはもともと精神的にもかなり行き詰まっていたこともあって、よりツラいことになってしまったのかなと。奥さんに「お金を扱わせない」と言っても、弘文さんが金銭の扱いに長けていたわけではまったくありませんから。

――2人目の奥さんとの生活では、貧しい暮らしだったのに馬を飼っていたと書いてあって、「なぜ馬???」と思いました。

柳田 それも2頭もね(笑)。浮世離れしていますよね。最初の奥さんなら処分していたと思う。ところが、再婚した奥さんはそういうことができなくて、家計がどうにもならなくなってしまった。

――ところで、『ゼン・オブ・スティーブ・ジョブズ』に描かれているように、弘文はデニーズのホット・ファッジが本当に好きだったんでしょうか?

柳田 デニーズの話は関係者から一回も出てこなかったですね(笑)。アメリカでデニーズというと安くてチープな店という位置づけですから、あの作品の原作者がそこをユーモラスに創作したんじゃないかな。いかにもジョブズが絶対に行かないような店ですから。

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