新型ウイルスの感染拡大で既成社会は完全崩壊!? 大ヒットしたゾンビ映画の続編『新 感染半島』

分断された朝鮮半島は、意外な形で統一を果たす？

　前作『新感染』とその前日談である長編アニメ『ソウル・ステーション／パンデミック』（16）ではゾンビウイルスによって韓国が崩壊していく様子が描かれた。本作では崩壊後の韓国が物語の舞台となっている。そこで気になるのは、お隣・北朝鮮の状況だ。韓国との国境線である北緯38度線を死守し、北朝鮮はゾンビウイルスの締め出しに成功しているのだろうか。

　新型コロナウイルスの感染者はいないと北朝鮮は公表しているが、実際のところは隔離施設には大勢の人が収容され、封鎖されている町や村もあるようだ。北朝鮮でも感染症は猛威を振るっていると思って間違いないだろう。ウイルスは38度線だからといって、引き返してはくれない。『新感染』の冒頭では山から降りてきた野生のシカもゾンビウイルスに感染していたので、野生動物や鳥たちを媒介にして北朝鮮でも遅かれ早かれゾンビウイルスはパンデミックするに違いない。

　本作ではジョンソクとミンジョン母子とが最後の決断を下すまでが描かれるが、もしさらに続編が制作されるのなら北朝鮮の動向にも触れることになるのではないだろうか。それこそ朝鮮半島全域にゾンビウイルスが蔓延すれば、半島全体がゾンビランド化してしまう。予期せぬ形で、70年以上も分断されてきた南北朝鮮は統一を果たすことになる。そんなシリーズ完結編は、ブラックすぎるだろうか。いや、朝鮮が統一された後には、世界中の国境線もすべて消えているかもしれない。

『新 感染半島 ファイナル・ステージ』
監督／ヨン・サンホ
出演／カン・ドンウォン、イ・ジョンヒョン、イ・レ、クォン・ヘヒョ、キム・ミンジェ、ク・ギョファン、キム・ドユン、イ・イェオン
配給／ギャガ　12月25日よりTOHOシネマズ日比谷にて先行上映、１月1日（金）より全国ロードショー
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https://gaga.ne.jp/shin-kansen-hantou

長野辰次（映画ライター）

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フリーライター。著書に『バックステージヒーローズ』『パンドラ映画館 美女と楽園』など。共著に『世界のカルト監督列伝』『仰天カルト・ムービー100 PART2』ほか。

ながのたつじ