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世界は映画を見ていれば大体わかる#1

“暴力夫”マック元会長原田氏を支え続ける谷村有美…夫婦の不思議を知るU-NEXT配信映画3本

原田泳幸氏。(原田泳幸事務所公式サイトより)

 事実は小説より奇なりーー。そんなことわざがいよいよ、身を持って実感できるようなニュースで溢れる昨今。「映画秘宝の年間ベスト&ワースト」にも参加する映画面白コメンテイターのしばりやトーマスが、夜にはびこるびっくりニュースや人の性を、U-NEXT配信作品で解明していく!

 マクドナルドの元会長、原田泳幸氏が妻に対する暴力行為で逮捕されたというニュースが流れたのは先月半ば。原田氏の妻といえばシンガソングライターの谷村有美だ。年の差17の「21世紀の恋人」とよばれたが、記事によると最近は夫のDVに悩んでいたともいわれ、「がんばれブロークン・ハート」なんて歌ってる場合じゃないでしょ!

 とはいうものの、谷村本人のブログには保釈された夫の「心からの謝罪」があったとあり、即離婚ということはなさそう。ゴルフクラブで殴られたというのに……夫婦って不思議ですねえ。そんな夫婦の不思議は映画の題材にも上りやすい。

 まずはウディ・アレン自ら主演も務めた『おいしい生活』(2000)。

 元ギャングの夫レイの妻フレンチーは銀行強盗に失敗して2年服役した夫を待ち続けるぐらいの糟糠の妻。彼女にいい暮らしをさせてやりたくて懲りずに銀行襲撃を計画。それは空き家の地下からトンネルを掘って銀行の金庫室までたどり着こうという大胆不敵なもの。偽装のためフレンチーにクッキー屋を開店させるがこの店に客が殺到、一人では店が回せなくなる事態となり従妹のメイを雇う。メイがトンネルのことをうっかり店の常連である警官に漏らしてしまい犯行は失敗。警官は地図を上下さかさまに見てしまって別の場所を掘ってしまうほどマヌケなレイたちを見て、クッキー店をフランチャイズ化した方が儲かるからと逮捕もしないのだった!

 一年後、店はカナダに進出するほど成長を収め、レイとフレンチーは一躍時の人に。「金持ちになったらフロリダにいって出会ったころのように『美味しい生活』をしようぜ」というレイだが、セレブの仲間入りをしたいフレンチーはセレブたちから「品のない成金趣味」とバカにされても美術商に頼んでボキャ貧(死語)の解消を目論む。下町人間の俺たちにセレブは向いてねぇ、と諭すレイと大喧嘩をして別れてしまう。

 この後二人はお互いありえないドジを踏んでしまって、新パートナーと破局、結局は「いちばん大好きだった」相手と元サヤに戻るわけですね。

 原田氏と谷村の結婚話を聞いた時、なんで結婚したんだろう? という疑問が浮かびませんでしたか。年の差17だし、ヒット曲を連発していた歌手との結婚。

天才作家の妻 40年目の真実』(2018)は、作家の夫ジョゼフと40年連れ添った糟糠の妻、ジョーン(演ずるはゴールデングローブノミネートの常連、グレン・クローズ)が共に、70代なのにベッドでイタしてしまう(!)元気っぷりを見せつけちゃう場面で始まる。

 ジョゼフが念願のノーベル賞を受賞することが決まり、スウェーデンの授賞式へ旅立つ。マスコミの取材攻めに遭う夫のそばで妻は嬉しいんだか、腹立たしいんだか、よくわからない表情をしている。妻ジョーンは学生の頃、作家教室を開いていた無名のジョゼフの教え子で、ジョゼフよりも文筆の才能があった。彼女はジョゼフの冴えない小説の手直しをして彼のデビュー作はおろか以後の作品すべてを手掛けることに、彼女は夫のゴーストライターだったのだ。

 谷村有美さんは原田氏と結婚後、マクドナルドの会長(当時)だった彼のために資料をパワーポイントで製作して、それがマクドナルドの戦略の大本になっていたという。ああ、まるでこの映画のグレン・クローズみたいに本当に才能があったのは、谷村有美のほうだったんだ!

 クローズと並ぶ往年の大女優、メリル・ストリープとベテランのトミー・リー・ジョーンズが共演した『31年目の夫婦げんか』(2012)はもはや会話もなくなり、夫婦間のことに無関心で、家でゴルフ(!)の番組ばかりみている夫アーノルドと艶のある夫婦生活を取り戻したい妻ケイはカップル向けカウンセリングに夫を誘う。小言ばかりで妻の「体にも触れてくれない」という不満など想像もしない夫だが、カウンセリングを通じて自分の不満も明かしてゆく。

 それがほぼ性交渉のことばっかりで
「オフィスで納税の時期に妻のほうからして欲しかった」(職業が税理士なので)「近所の犬を散歩している女性と3Pがしたかった」
と、ロクでもない妄想を口にする夫! 何考えてんの!

 互いの妄想を明け透けに吐露した二人は旦那が立たないというトラブルを挟みつつ、「夫の心からの謝罪」を経て無事数年ぶりのベッドインを経験してハッピーエンド。谷村有美さんもゴルフクラブで殴られてもブログでは別れることは考えてないようなことを書いていたので、この映画のようにけんかの後で仲直りしたに違いない。「ときめきをbelieve」って感じで……。

 このように世の中のことは映画を見ていれば大体理解できてしまうもの。今回話題にした3本はU-NEXTで絶賛配信中です。

しばりやトーマス(映画ライター)

関西を中心に活動するフリーの映画面白コメンテイター。どうでもいい時事ネタを収集する企画「地下ニュースグランプリ」主催。

Twitter:@sivariyathomas

しばりやとーます

最終更新:2023/02/24 11:52
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