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コロナ禍で強まるアジア系アメリカ人の迫害…トランプの対中プロパガンダで分断加速

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写真/GettyImagesより

 先月の話になるが、2月19日は、太平洋戦争時の米大統領、フランクリン・D・ルーズベルトが大統領令9066号に署名してから79年目となる日だった。

「防衛のための強制移動の制限」とも呼ばれるこの大統領令の結果、軍管理地域に指定されたカリフォルニア州など西海岸沿岸州とアリゾナ州南部に住む約12万人の日系アメリカ人が市民権を剥奪され不当に抑留されることになった。

 この中には当時、ロサンゼルスで暮らしていた筆者の母方の大叔母一家がいた。一家は全米10カ所に設けられた収容所の中の一つ、マンザナー強制収容所(カリフォルニア州インヨー郡)に収容され、その間、母の従兄姉(いとこ)にあたる人が収容所内で病死している。

 この日、ジョー・バイデン大統領は「米国史の中でも最も恥ずべき時期の一つ。日系アメリカ人は、単に(日本にルーツを持っている)という理由だけで標的にされ、投獄された」と強制収容の歴史を振り返り、「米国はすべての人の自由と正義という建国以来の理想を実現することができなかった」とする声明を発表した。

 筆者の親族も含め、日系人の多くが当時のことを語らないまま死去してしまったが、有刺鉄線に囲まれ、機関銃を備えた監視塔が立つ当時の収容所の写真を見るにつけ、先祖が日本人というだけで彼らが如何に理不尽な仕打ちを受けてきたのかということに思いを馳せてしまう。

 そうした自分たちの力だけではどうにもしがたい、出自、人種という理由だけで不当に差別され、強制収容所に収容された経験を持つ日系人だからこそ、2001年9月11日の同時多発テロ後、米国に住むイスラム系米国人が迫害や差別の標的にされた時、日系人らはイスラム系の人たちへの擁護に声を上げた。

 当時のジョージ・W・ブッシュ政権時のノーマン・ミネタ運輸長官は太平洋戦争中、自らも日系二世として、ワイオミング州の強制収容所に入れられた経験を持つが、アラブ系やイスラム教徒に対する執拗な空港での荷物チェックなど、人種に基づいた差別行為を厳禁した。

 就任早々のドナルド・トランプ前大統領が2017年1月、中東とアフリカのイスラム圏7カ国からの米国入国を禁止制限する大統領令を出した時も、日系人コミュニティは、米憲法に反する差別的政策と強く反対した。こうした彼らの一連の行動の背景には、自分たちが受けた人種に基づいた迫害や差別が二度と米国内で繰り返されてならないという強い思いがある。

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