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「房総半島沖の深海が大量のプラスチックのごみ捨て場に」JAMSTE発表 35年以上前のプラスチックが無傷で残る惨状

文=鷲尾香一(わしお・こういち)

「房総半島沖の深海が大量のプラスチックごみ捨て場に」JAMSTE発表 35年以上前のプラスチックが無傷で残る惨状の画像1

「千葉県房総半島沖の深海が、大量のプラスチックごみ捨て場になっている」。

 こうした驚愕の調査結果を、国立研究開発法人海洋研究開発機構(以下、JAMSTEC)が発表した。さらに、四国沖の深海底にも、同様の大量のプラスチックごみ捨て場があると予測している。この調査結果は、3月30日付で「Marine Pollution Bulletin誌」に掲載された( https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0025326X21002228?via%3Dihub )。

 1950年代から大量生産が始まったプラスチックの生産量は、16年までに合計83億トン。そのうち毎年海洋に流入するプラスチックごみの量は約1000万トンを超えるとされ、観測によると海面に浮かぶプラスチックごみの全地球的な総量は44万トンにすぎず、大部分の行方が不明だ。

 大部分は深海に沈んだと考えられているが、研究例が少なく、深海ごみの実態はほとんど明らかとなっていない。特に、大深度の海底におけるプラスチックごみの情報は世界的にみても極めて乏しく、実態の解明が急務となっている。

 毎年海洋に流入する膨大な量のプラスチックごみのうち、約半分は東アジア・東南アジア諸国から流れ出ている。これらの一部は黒潮に乗り日本近海を北上、そのため日本近海の表層に浮かぶマイクロプラスチック(大きさが5ミリメートル以下のプラスチック粒子)量は、他の海域に比べて多いことが明らかとなっており、日本周辺の深海底には極めて多量のプラスチックごみが集積していると予想されていた。

 日本近海には、少なくとも2つの巨大な深海ごみの集積場所が予想されていた。

 1つは四国沖の「黒潮・再循環域」の海底、もう1つは房総半島沖の「黒潮続流・再循環域」の海底だ。

 そこで、JAMSTECは19年9月に有人潜水調査船「しんかい6500」を使って、房総半島から500kキロメートルほどの沖合にある「黒潮続流・再循環域」の直下の水深5718-5813メートルの(勾配の緩やかな深海底)でマクロプラスチックごみ(ポリ袋など、我々が日常手にするサイズのプラスチックごみ)の調査を実施した。

 その結果、プラスチック含む大量のごみを確認し、水深6000メートル付近の大深度の海底でプラスチックごみの汚染は広がっていることが明らかとなった。見つかったごみの大部分(8割以上)は、ポリ袋や食品包装などの「使い捨てプラスチック」だ。

 中には、1984年製造と記された35年以上前の食品包装が、ほとんど無傷かつ印刷も鮮明なまま見つかり、水温の低い深海ではプラスチックがほとんど劣化しないことが明らかになった。

 この深海平原に広がるプラスチックごみの密度(平方キロメートル当たり平均4561 個 )は、過去に記録された深海平原におけるプラスチックごみと比べて2ケタも高く、海溝や海底谷など、ごみなどが集まりやすいと考えられる窪地と比較しても高い値を示した。

 つまり、黒潮によって運ばれる大量のごみの一部が、沈降して日本周辺海域の深海底に堆積していること。そして「黒潮続流・再循環域」の深海底がプラスチックごみの主要な溜まり場の1つになっていることを示唆しているとJAMSTECは分析している。

 この調査で、房総半島沖の「黒潮続流・再循環域」の海底に大量のプラスチックごみが集積していることが明らかとなったが、四国沖の「黒潮・再循環域」の海底については未解明。JAMSTECは四国沖の「黒潮・再循環域」の海底についても、今後調査を実施していく予定とのことだ。

 さらに、JAMSTECでは、海洋の表層ではごみに特異的な微生物群集やごみの増大により生息域を広げる生物など、“ごみ生命圏”の存在が明らかとなっていることから、深海底で大量にごみが集積する場所が見つかれば、深海ごみに特異的な生物群集が見つかる可能性もあるため、「プラスチックごみ生命圏の実体を明らかにしていく予定」としている。

鷲尾香一(わしお・こういち)

鷲尾香一(わしお・こういち)

経済ジャーナリスト。元ロイター通信の編集委員。「Forsight」「現代ビジネス」「J-CAST」「週刊金曜日」ほかで執筆中。

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Twitter:@tohrusuzuki

最終更新:2021/04/24 20:00
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