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宇垣美里はなぜいつも“落ちぶれる”のか―「ジェンダー・ギャップ」120位男女差別記事が平然と消費される日本

ジェンダー・ギャップを埋められるのは“権力を持っている人”の評価

 こうした現状を変えられるのは、現代社会に於いて権力を持っている人だ。

 そうした人が、純粋に女性の才能や個性、仕事を評価していく。多くの人は、権力者の評価は正しいものだと受け止める。だから、たったそれだけで、その社会に於ける女性差別は減るだろう。

 そうやって、女性の活躍を認め、評価を広めていくことだけが、現代社会に生き辛さを感じている女性を救えるのではないだろうか。

 ジェンダー・ギャップを埋めることが出生率に関係するとかしないとか語られているけれど、私は、そんなことやってみないと誰にもわからないと思う。ただはっきりとわかることは、このままでは、差別が当たり前の社会で子どもを産みたくないといって出産を拒む女性が増えてでも、女性として産まれた子らが自死を選んでも当然の社会が形成されていくということだ。

“中国の水拷問”という拷問の様式がある。それは、拘束して目隠しをした拷問相手の額に、一定時間おきに水滴を落とすといったものだ。ただの水だから、痛みはもちろんない。けれど、その拷問を受けた人は、いずれ発狂する。

 それと同じで、毎日の小さなストレスは、少しずつ、けれど確実に人の心を蝕む。「ただの水なのに、何を怖がっているんだ」と笑われて行き場を失えば、余計に。

 些細な差別に思えるかもしれない。けれど、「そうはいっても大したことないんだろう」と軽んじずに、目の前の問題を直視してほしい。自分が受けない差別を否定する習慣だけが、この世から差別を減らしてくれるのだと、私は思う。

松田優(小説家・ライター)

小説家・ライター。2019年に『ドミノ倒れ』『かぼちゃの馬車のクレームブリュレ』(ともにIAP出版)を同時刊行。ライターチーム『WritingWrite』のリーダー兼ディレクターとしても活動。日本ペンクラブN会員、言論表現委員。

まつだゆう

最終更新:2021/07/01 12:00
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