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映画『100日間生きたワニ』はコロナ禍でこそ生まれた傑作! そして原作の炎上騒動に落胆した人にこそ観てほしい理由とは

文=ヒナタカ

映画『100日間生きたワニ』はコロナ禍でこそ生まれた傑作! そして原作の炎上騒動に落胆した人にこそ観てほしい理由とはの画像1
©2021「100日間生きたワニ」製作委員会

 2021年7月9日より、アニメ映画『100日間生きたワニ』が劇場公開されている。本作はTwitterで爆発的な人気を得たコンテンツ『100日後に死ぬワニ』を原作とするアニメ映画化作品だ。

 結論から申し上げれば、この『100日間生きたワニ』は老若男女におすすめできる、掛け値なしにとても良い作品だった。いや、コロナ禍だからこそ生まれた、新しい時代の傑作だと言い切っていい。

 何より共同監督の1人が、絶賛に次ぐ絶賛で迎えられた『カメラを止めるな!』(2017)の上田慎一郎であることが重要だ。そして、後述する原作の炎上騒動に「あーあ……」と落胆した人にこそおすすめできる内容でもあったのだ。ここでは、本編のネタバレに触れない範囲で、その理由を記しておこう。

コロナ禍の現実を踏まえた、誠実な原作のアレンジ

 原作『100日後に死ぬワニ』は4コママンガの形式で、「死まであと○○日」と死までのカウントを1日、また1日と追う内容であった。描かれているのは何気ない平和な日常だが、読者は「逃れられない死」が待ち受けていることを知っているため、緊張感をもってその死につながる伏線を探し、「何気なくつぶやいた目標が達成できない未来が待ち受けている」切なさも知り、相対的に生きている時間の大切さも噛み締められる、そういう作品だった。

 だが、その魅力はリアルタイムで楽しむSNSの特徴、1日ごとに投稿されるという作品のフォーマットを前提としたものでもあった。短い時間で一気に観る映画という全く異なる媒体で、この原作をそのまま映像化しても、面白い作品にならないのではないか、と思っていた方は多いのではないだろうか。

 しかし、この難題について、上田監督は「最善手」「斜め上」「誠実」と言える、ものすごい回答を用意してくれた。実は、そのアイデアの根底には、新型コロナウイルスの感染拡大という現実の問題があったのだ。

 というのも、上田監督が書いた脚本の初稿は、原作の全100話を再構成し、後日談が少しつくような構成だったそうだ。だが、その初稿が書き上がった直後にコロナの問題が本格的になり、脚本を大幅に書き直すことになったという(それに伴いタイトルも上田監督自身が変更した)。その理由について、上田監督は「コロナ禍で、平凡な日常、当たり前な日常が失われて、毎日死を意識しないといけないような世界になっている」ことを挙げていた。

 現実の世界が変わったからという理由で、原作つきの映画の脚本を大幅に書き直すというのは、大胆な挑戦であっただろう。確かに原作は「平和に生きていた普通の人にも不意に死が訪れるかもしれない」と、「普段は考えもしない死の可能性」をクローズアップしたとも言える作品だった。だが、コロナ禍では死は常に身近に感じ恐れるものへと変貌しており、その原作のテーマが通じずらい世の中になってしまったという事情を真摯に汲み取って、今の世に相応しい内容へと作り替えたのだ。しかも、この映画のとあるメッセージが、原作の「延長線上」にある、大いにリスペクトのあるものにもなっているのは驚異的だ。

 これ以上は、映画の内容の詳細は述べないでおこう。実は、「映画化において具体的にどのようなアレンジがされたのか?」については、公式サイトや予告編、上田監督のインタビュー記事などで明記されているのだが、筆者個人としてはなるべく知らずに観に行ってほしい。見事な伏線回収のつるべうちで観客をとことん楽しませる上田監督のサービス精神と、優しさがたっぷりと詰まった作劇に、新鮮な感動と驚きを覚える方は、きっと多いはずだから。

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