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世界は映画を見ていれば大体わかる#13

『ザ・フード ~アメリカ巨大食品メーカー』あのケロッグ誕生のウラで兄弟の骨肉の争いが…!

 やがて激務に倒れたフランクは心臓発作で死去。父と和解できぬまま今生の別れとなったフォレストはますます野心的になり、マース社の買収に突き進む。

 手で溶けずに口内で溶けるミルクチョコ“M&M’s”の開発に成功したフォレストだが、新商品発売前に世界を一変する事件が起きる。日本軍の真珠湾攻撃だ。

 第2次世界大戦に突入した米軍兵士を支えたのは武器ではない。最前線に惜しみなくつぎ込まれる食糧の山だ。

 ケロッグのコーンフレークが、コカ・コーラが、M&M’sが前線の兵士に届けられ、解放された都市の住民に配られたことでアメリカの食品は世界に広がっていった。

 前線の兵士が飢えていた日本軍が、あの戦争に負けたのもよくわかる。腹が減っては戦が出来ないのだから。陸軍からの発注で莫大な資産を手にしたフォレストは亡き父のマース社を買収し、“仲直り”することもできた。

 一方国内の食生活は貧しくなったが、それに対応したのはバーズアイの冷凍食品だ。10%だった家庭の冷凍庫普及率は60%に伸び、料理の時間が短縮され余裕の出来た母親は働き口を求めて社会に進出していった。

 単なる食品メーカー創業者の立志伝と思いきや、大国アメリカの形成につながっていく。アメリカ産の食品がアメリカ人の食生活を変え、言葉の通じない外国にも広まっていくのだ。アメリカ食品を語らずにアメリカを語ることはできない。その背景には砂漠の中から黄金を見つけ出すがごとく偉業に挑んだ改革者たちが自分の夢のためには血を分けた兄弟や親子であっても対立し成功を手にしようとする姿勢だ。何しろアメリカ人は成功者が大好きだから。

 ほかにもコカ・コーラやマクドナルドなどの誕生秘話があるのだが、個人的に気になったエピソードがケンタッキー・フライドチキンの創業者カーネル・サンダースがガソリンスタンド経営者だった頃、商売敵と縄張り争いになり、相手の肩をショットガンで撃ってしまう!

 ケンタッキーのマスコットキャラになってる「温厚そうなおじいさん」のイメージとは違って荒っぽく粗暴、すぐに噴き上がっちゃう人物で後に圧力釜を使ったフライドチキンを生み出すことができたのも納得!

しばりやトーマス(映画ライター)

関西を中心に活動するフリーの映画面白コメンテイター。どうでもいい時事ネタを収集する企画「地下ニュースグランプリ」主催。

Twitter:@sivariyathomas

しばりやとーます

最終更新:2021/07/22 12:00
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