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ヨネダ2000は天才の領域!? 「THE W 2021」遅ればせながら元芸人が全ネタレビュー

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日本テレビ「THE W 2021」公式サイトより

 12月13日に今年で5年目を迎える女芸人No.1決定戦「THE W 2021」が開催された。

 今回の出場者はあまり馴染みのないメンバーが多く、こういった場合、常連組が苦戦を強いられる。何故ならその新鮮さから面白さのハードルが下がり、新参者へ票が集まりやすいからだ。

 賞レースのレビューを始めてから、売れている芸人のネタはなるべく見ないようにし、初見の芸人は事前情報のない状態で見るようにしている。今回も早速元芸人目線で分析していこう。

 今回の戦いはAブロックとBブロックに別れ、勝ち残りノックアウト方式という新ルールで行われる。1組目と2組目がネタを披露し、審査員の投票が多かった方が暫定一位となり、次に3組目がネタを披露し暫定1位と対決、最後まで暫定一位の席に残ったものがブロック勝者となり最終決戦へ進出。そして両ブロックを勝ち上がった2組と、各ブロックで敗れた8組から視聴者投票をし、最も投票が多かった1組を足した計3組で最終決戦を行うという形式。

 新ルールを入れて他の大会との差別化を図ったというところだろうか。

 それではまずAブロックの分析から。

ヨネダ2000「友達に謝る練習がしたい」

 その個性的な見た目により、普通の漫才でないことは一目瞭然。

 さらにはインパクトが強いほうがツッコミであるというところも、期待感を高める要素である。

 このコンビに台本は無いらしい。これはアドリブという事ではなく、口頭でボケを出し合い面白いと思ったものを採用し、そして精査して、最終的な漫才の形にするという意味だ。

 今回のネタの場合、最初に「ドスコイドスコイ」というフレーズとツッパリが浮かび、それを絡めたボケを思いつく限り並べ、精査していった結果、この形になったのだろう。

 ひとつのボケさえできれば簡単に進みそうなこのシステムは、実はかなり難しい。ボケのパターンをどれだけ豊富にするかが鍵となるからだ。

 ヨネダ2000のネタを例にあげると、最初はネタの本筋となる「ドスコイドスコイ」で笑わせ、次にバンブーダンスのようにツッパリを避けるといった動きのボケから始まり、途中でツッパリを無視して話を進行し、最終的にはリズムネタのようになり、心地よいテンポのまま終了する。芸歴4年目が出来るような芸ではないのだ。それが出来るヨネダ2000は、天才の領域かもしれない。

 ちなみにこのひとつのボケだけで進んでいくというのは、あの日本エレキテル連合の代表作「あけみちゃん」も同じシステムだ。「ダメよ~ダメダメ」に対し、そのフレーズをどれだけ面白く引き出せるかだけで、見せ続けるネタである。あのネタを初めて見たとき、なぜ自分が先に思いつかなかったのかと嫉妬した記憶がある。

 ひとつだけ残念なのは、最初にも書いたがこの2人には「台本がない」という部分だ。

 台本を書くという作業はただメモをするという事ではなく、口頭では浮かばないボケが浮かぶ。違いは明確で、口頭で浮かぶボケは想像力、台本に書くボケは発想力なのだ。つまりもしこの2人が台本を書いていたら、違う発想のボケが生まれ更に面白くなっていたかもしれない。何とも惜しい。

紅ショウガ「男性と会うときの練習」

 前回の準優勝者という事で期待が膨らんだが、印象は関西でよく見る両ボケ、両ツッコミのしゃべくり漫才コントといったところ。

 ネタ前の紹介VTRで印象に残った言葉が2つあった。ひとつは「漫才の形をいろいろ試した結果、今の形になった」もうひとつは「今まではボケ中心の漫才だったが今回は2人で戦う」と。

 ひとつめの言葉だが、確かにいろいろ試した結果、もっともベタな形に戻る芸人は多い。それだけベタというのは面白いものなのだ。ただベタなネタというのは面白いだけではなく、難しいものでもある。何故かというとベタな展開はお客さんの中である程度想像がついてしまう事にもなる。ある程度想像がつくという事は、その想像をどれだけ活かせるかの勝負になるのだ。

 想像通りだと笑いは起きず、想像を越えすぎても理解されない。想像の少し上を狙うという何ともシビアで繊細な作業なのだ。

 今回のネタはボケの人の表情や声の大きさで笑いを起こすことはあるが、想像を越えてくる「うわっそう来たか」という裏切りの笑いが少なく、ネタ自体が単調になってしまった。

 漫才というのはどれだけツッコミが上手いかが大事になってくる。

 このネタに限った事を言わせてもらうと、正直ツッコミの稲田さんはまだ引き出しが足りない。ネタ中のつっこみのほとんどが驚きのリアクションをとってつっこむという形。同じような形のボケが多かったのでそうなってしまったのかもしれないが、引き出しが多ければ、男性相手に少し女性の部分を見せてボケを封じたり、熊元さんに邪魔され過ぎて怒って立場が逆転するなどの展開が作れ、単調さがなくなったかもしれない。今回は2人で戦うと言っていたのだから、その姿勢を生かした部分がみたかった。

 一回戦はこの2組の対決となったわけだが、審査員も口々に言うとおりこの大会は審査するのが相当難しいと思う。

 何故なら「漫才」や「コント」などのくくりがなく「女性ならなんでもあり」という大会だ。ということは全く違うジャンルのネタを比べるという事。まさに困難でしかない。この一回戦は同じ漫才という土俵だったが、まるで別物。プロレスとアマレスくらい別物なのだ。そうなると審査員は自分なりの判定材料が必要となる。笑いの量、笑わる方法、技術、方言、テンポなど。

 ちなみに僕は展開が広がるネタが好きなので、一回戦はヨネダ2000派だったのだが、実際に勝ったのは紅ショウガだった。

 この時点で紅ショウガが暫定一位。

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