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ヨネダ2000は天才の領域!? 「THE W 2021」遅ればせながら元芸人が全ネタレビュー

TEAM BANANAは藤本のネタ中のキャラ付けが今後の鍵?

茶々「嫌な女」

 電車内という設定で、対面の席に座っている駄々をこねる子供とその母親に対し、ひたすら意地悪をしていくというネタ。音響を使って親と子供を演じ、本人は一言も喋らない。マツモトクラブのまったく喋らないバージョンというのが、当たらずとも遠からずといったところだろうか。

 芸歴2年目という事で不利な点は多々ある。初めてのテレビ出演の緊張、ネタのチョイスなど、経験がものをいう部分でどうしても差が出てしまう。今回のネタは正直あまり良いネタとは思えなかった。それはネタが悪いという事では無く、賞レース向きでは無いという意味だ。

 設定が電車内という日常的な場所なので少しでも非日常を持ち込むと途端に空間が歪んでしまう。さらにフリがわかりやすい大喜利ネタなので、笑わせようとしたときにどうしても非日常に足を踏み入れてしまうのだ。この悪循環が笑いを起こしにくくさせる。

 さらに声を出さないネタというのは、勢いがつきづらい。大きな声でボケているネタには勝てないといっても過言ではない。

 プラスして子供や親に意地悪をするというネタなので万人受けしづらいのも不利な点だ。

 僕が彼女であれば、ネタの単調さに気づき、わざとどこかで声を出す。それは電車の急ブレーキでもいいし、意地悪しようと思った道具が見つからないなどなんでも良い。とにかく声を出す。そしてもうひとつオチを変える。あのネタはオチが悪い。僕だったら最後は自分がやられるように仕向ける。意地悪をし続けている間にお客さんは自分を悪者として見てくれる。そうなったら最後自分がコテンパンにやられてしまえばお客さんはスッキリし、なおかつ笑えるのだ。これが経験の差かもしれない。

 ただ芸歴2年目で決勝へ進出したことは、本当に凄いことだ。優勝することは出来なかったが、彼女の雰囲気と芸風で今後の需要は多くなると思う。

TEAM BANANA 「女性が嫌いな女性」

 2年連続の決勝進出ということで実力派だというのはすぐにわかるが、高校生の時にM-1甲子園で優勝しているというのは驚いた。

 スタイルはボケの山田さんが日常でむかついたことを言い、それに藤本さんがつっこむという王道のあるあるネタしゃべくり漫才。どうしてもあるあるネタしゃべくり漫才=関西のイメージだが、これが関東の漫才というのは珍しい。

 今回のネタは彼女たちのスタイルである山田さんが嫌いな人に対して攻撃をしていくというもので、ボケの山田さんの器用さや言い回しの上手さ、表情の豊かさで笑いを起こしていたが、ネタに新鮮さは無く、関東でしゃべくり漫才という珍しさを差し引くと、正直良く見るパターンだった。

 関東のしゃべくり女性漫才師、しかも若手となるとかなり希少だ。見た目も売れそうなので、できればツッコミの藤本さんがもっと、キャラ付けをすれば良いのではないだろうか。

 相方が口の悪さが売りなら、藤森さんはバカみたいに純粋なキャラとか、どんな人でも信じてしまうなどのキャラを設定して、ボケVSツッコミという図式を入れても面白いかもしれない。

「キャラを乗せるのではなく、しゃべくりを鍛えれば?」という意見も出そうだが、正直しゃべくりだけでは関西弁のあのニュアンスには勝てない。同じ話でも関西弁の方が何倍も面白く感じてしまうものだ。それなのでキャラを前面に押し出し、2人にしか出せない味で戦うことをお勧めする。

 これは僕が15年近く漫才をやって出した結論だ。

 ちなみにこのときの審査結果が面白く、関西の人は紅ショウガ、それ以外の人はTHE BANANAに票を入れるというわかりやすいものになった。

 もし審査員に関西以外の人が多かったらTHE BANANAが勝利したかもしれない。だが関西の人が多かった、という運も実力のひとつである。

Aブロックの最後オダウエダ「焼き鳥屋さん」

 今どき誰もやらなくなったベタなタイトル発表「コント焼き鳥屋さん」を大音量で言い放ち、ネタがスタートした。誰もやらなくなったスタイルを一周回ってやるのはある意味、凄いセンスだ。

 このコンビも2年連続決勝という実績。そうは思わせない見た目と立ち振る舞い。ドキドキが止まらない。

 ネタは基本的に焼き鳥を注文し、店員が「タレ、塩、〇〇のどれにしますか?」の「〇〇」の部分がシュールな大喜利となっていて、焼き鳥が擬人化されて「〇〇」を行うというだけのシンプルなもの。ハツが就活したり、ぼんじりが判決で敗訴したり、不条理とシンプルがわかりやすく混ざっている。ただそれだけにこの面白さがわからない人は、まったく笑えないだろう。ほかの芸人で例えるなら、ハリウッドザコシショウのようなタイプ。

 このコンビはそのネタの不条理さや奇抜さが目立ってしまうが、僕は2人の見た目と声にも注目した。オダさんは身長170センチの長身で、すべてのセリフを棒読みしてしまうハイトーンボイス。そしてウエダさんはファニーな顔立ちと面白く聞こえる大声。これはかなり凄い武器だ。

 このオダウエダが紅ショウガを降し、見事Aブロックを勝ち上がった。

 ただ正直、一回戦のオダウエダは笑いが少なかったように思えた。正統派の漫才の後の不条理だったので、新鮮さが出たのかもしれない。

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