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ダウンタウン「伝説の一日」で役割いまだ空欄…期待と不安まじる漫才の可能性

結局「ダウンタウン」になる恐れあり!?

 私が想像して緊張するのは、新ネタがスベるのではなく、爆発的にウケる光景だ。ダウンタウンが漫才から離れていた約30年――M-1の誕生と隆盛、笑い飯の流転、島田紳助の退場、爆笑問題の継続、おぼんこぼんの反目、おぼんこぼんの復縁などなど、多種多様な漫才クロニクルが存在した。もし新ネタが面白すぎて「結局、漫才もダウンタウンにつきるな!」という結論になったら、30年の経過や蓄積が無に帰してしまうのではないか。「ダウンタウンの漫才」バスを見送り、別のバスに乗って遠くの地にたどりついた気になっていたのに、実はダウンタウンを追って何十年も同じ土地をぐるぐる回っていただけ。お笑いシーンに進化論はなく、これからも永遠に変わらない一神教の世界を生きていく、という事実を突きつけられたらさすがに寂しいのである。

 とはいえ、2人がセンターマイクを挟む光景を見たら、フリートークだろうが古いネタだろうが新しいネタだろうがどうでもよくなって、ただただ笑って充足して終わるのかもしれない。ダウンタウン生まれ、ダウンタウン育ち、死に場所もダウンタウン。遠距離バスに乗ることなく一カ所の地元で生涯を終えるヤンキーも、それはそれで幸せな生き方に見える。

と、あることないことを思い描いて心を揺らしているが、蓋を開けてみたら当日は演芸をしないで、吉本興業特別顧問の就任発表なんかして終わるのかもしれない。中田カウス以来の出世にまた緊張する。

鈴木工(ライター)

ライター。「Quick Japan」「芸人芸人芸人」などでお笑い芸人関連のインタビューや記事を執筆。また、「プレジデント」では編集を担当する。

Twitter:@7142128354249

すずきたくみ

最終更新:2022/03/30 19:00
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