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情報化社会を裏で動かす男たちを描く! 小説『インフォーマ』発売

この写真は何なのか……は、この記事の文末でわかります。

小説家・沖田臥竜氏が新作 『インフォーマ』(小社刊)の発売にあたって寄せた特別エッセイ。アウトローの世界から小説家を目指し、デビューから14作目となった今作。ここに辿り着くまでの想い、そして、『インフォーマ』に込めたメッセージとは?

小説家は儲からない… それでも「書き手の最高峰」である

 物語はいつも東京で生まれる。

 まるで北方謙三のハードボイルド小説のような出だしだが、事実なので仕方あるまい。

 その日、私は都内のホテルのコーヒーラウンジで、『ムショぼけ』の打ち合わせを行なっていた。

 去年1月のことだ。そこから『ムショぼけ』の出版、その作品が原作となったドラマ放送と怒涛のスケジュールがスタートするのだが、実はそのときに書き始めるきっかけになった作品が存在する。

 それがこの度、Amazonで予約受付が開始された新作小説『インフォーマ』(サイゾー文芸)だ。

  何度も書き直しては筆を入れ、出版までに2年近くの時間を要することになったのだが、おかげさまで今作で14作目の作品となった。

  『ムショぼけ』は、私の地元・尼崎が舞台となり、ドラマも実際に尼崎での撮影となったことから、尼崎ではさまざまな反響をいただいた。

 だが、ぶっちゃけてよいだろうか……。

 内心、もっと儲かると思っていた。正直者すぎて申し訳ないが、もっと儲かるだろうと勝手に思い込んでしまっていた。

 確かにこれまでの作品と比較すると、『ムショぼけ』はそれなりの利益を上げてはいるが、それでも、ひと様が羨むような儲けは叩き出していない。

 それはなにも、私に限ってのことではないことは重々理解している。なぜならば、文芸界は笑ってしまうほど、容赦ない冷え込み具合を見せているからだ。試しに文芸担当に聞いてみろ。全員が全員、同じ言葉を口にするぞ。

 「はっ? 小説ですか? 売れるわけないじゃないですか」

 こんな現実をまざまざと言葉にしてしまうのは、小説家を目指している人たちに申し訳ないのだが、それくらい文芸は難しい。逆にいえば、そんな中でも志を持って筆を握れる、書き手の最高峰こそが小説家なのだ。

 まあ、それくらいのことを自分自身に言い聞かせておかないと、小説などなかなか書けないだろう。

 ただ14冊も本を出せば、潤沢な資金力くらいは手にしているのだろうな、とは考えていた。もっといえば、5冊くらい出版した頃には、悠々自適に別荘などで気ままに暮らし、気分が乗りに乗ったときだけ原稿を書くような生活を送っているのだろなと本気で思っていたのだが、現実は甘くなかった。

 なにも本が売れない、と嘆きたいわけではない。世の中には、やってみないとわからないことがたくさんあるということを経験から実感しているのである。

 だが、儲からない儲からないとばかり書き連ねておいて恐縮だが、文芸という作品を金銭的基準だけで判断できるかといえば、そうではないだろう。それは作品作りのすべてに共通する価値観といえるかもしれない。

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