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地球生命史史上最大の絶滅の原因、火山活動を科学的に解明

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 山口大学の研究チーム4月17日、地球生命史史上最大の絶滅と言われるペルム紀末の大量絶滅は、火山活動に起因する「陸上火災」による「陸上土壌の海洋への流出」が「海洋の無酸素化」という一連の環境悪化が、数百年という時間スケールで繰り返し発生していたことを明らかにした。
https://www.yamaguchi-u.ac.jp/weekly/22644/index.html

 ペルム紀は恐竜や鳥類、現生爬虫類の祖先となる双弓類など巨大な両生類や爬虫類が生息していた今から約2億9900万年前から約2億5100万年前で、ペルム紀末の大量絶滅では90%以上の種が絶滅した。

 発表文によると、原因については多くの仮説が提唱されているが、最近の研究で注目されているのは、超大陸パンゲアの北東、現在のシベリアで発生した大規模火山活動であると考えられている。

 しかし、この火山活動は90万年以上続いたものの、ペルム紀末の大量絶滅はわずか6万年ほどの期間内に発生した。この原因と結果の間にある著しい時間的なギャップを埋めるための仮説としては、火山活動には強弱があり、90万年以上という活動期間の中で壊滅的な活動が約2億5000万年前に瞬間的に発生することで、大量絶滅が引き起こされたというものがあるが、ペルム紀末大量絶滅の謎の一つとなっている。

 この壊滅的かつ瞬間的な火山活動を地層記録から捉えるためには、地層記録から火山活動の痕跡を超高解像度で捉える必要があるが、これまで技術的制約から行われていなかった。

 この謎を解くために研究チームはペルム系最上部の堆積岩を中国の地層から採取し、地層中に含まれる多環式芳香族炭化水素等の超高解像度分析をフーリエ変換イオンサイクロトロン共鳴質量分析計により、これまでの100倍以上の超高解像度分析を行うことに成功した。

 今回ターゲットとした多環式芳香族炭化水素は、地質年代を通じて十億年以上保存される非常に安定的な有機分子で、現代では、石油、石炭、木材などの有機物質の燃焼や熱分解によって生成される。

 地球環境中の多環式芳香族炭化水素の起源は有機物の燃焼現象と密接に関連があるため、地質学的には太古の火災を調べるために活用されている。地層中の多環式芳香族炭化水素の特徴や量を調べることで、地球の過去の気候変動や環境変化の解明につながる。

 今回、ペルム系最上部の堆積岩から検出された多環式芳香族炭化水素の分布を調べたところ、当時の火山活動に起因する火災が数百年規模で頻発していることがわかった。さらに、火災によって土壌を安定化させている植生が消滅した結果、陸上土壌の海洋への流出が起こり、土壌に含まれる栄養塩が海洋一次生産性の増大を招き、結果として海洋無酸素化が発生していることがわかった。

 つまり、火山活動に起因する陸上火災によって、陸上土壌が海洋へ流出して海洋の無酸素化という一連の環境悪化が数百年という時間スケールで繰り返し発生していることが明らかにった。このことは、陸上環境と海洋環境の荒廃が密接に関連し、しかも地質学的には短時間の時間スケールで発生していることを示している。

 研究グループでは、「この研究では初めて、この一連の環境悪化が地質学的に非常に短い時間(数百年規模)で発生していることを明らかにした。このことは、超高解像度地層記録の分析が、地質時代の地球生命史事件について、どの程度の時間スケールの環境悪化に起因するものなのか、明らかにするための強力なツールとなりうることを示している」としている。

 さらに、「地球生命史における大量絶滅事件が地質学的に一瞬なのか、それとも徐々に発生していたのか、それぞれの大量絶滅事件について議論はあるものの、地層の超高解像度分析の今後の活躍が期待される」と述べている。

 研究結果は、国際誌「NatureCommunications」に掲載された。

 

 

鷲尾香一(経済ジャーナリスト)

経済ジャーナリスト。元ロイター通信の編集委員。外国為替、債券、短期金融、株式の各市場を担当後、財務省、経済産業省、国土交通省、金融庁、検察庁、日本銀行、東京証券取引所などを担当。マクロ経済政策から企業ニュース、政治問題から社会問題まで様々な分野で取材・執筆活動を行っている。「Forsight」「現代ビジネス」「J-CAST」「週刊金曜日」「楽待不動産投資新聞」ほかで執筆中。著書に「企業買収―会社はこうして乗っ取られる 」(新潮OH!文庫)。

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最終更新:2023/05/13 21:00
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