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あの『ムショぼけ』がマンガになって帰ってくる…コロナ禍の尼崎からスタートした物語が新章へ

ドラマ『ムショぼけ』の台本と、その後、サイゾーから発売された小説『ムショぼけ2』。さらにマンガ化もされ、主人公・陣内宗介をめぐる物語はまだまだ続いていく。

作家・沖田臥竜氏が原作監修を務め、北村有起哉主演でドラマ化もされた『ムショぼけ』が、マンガ化されることが発表された。ストーリーは完全書き下ろしで、ドラマや小説『ムショぼけ』(小学館文庫)、『ムショぼけ2』(サイゾー)とは異なる刺激的な物語が繰り広げられるというが、同作が生まれる背景には、さまざまな苦悩と尋常ではない仕事量があったという……小説2冊とマンガ2作品を同時進行するという離れ業をやってのけた沖田氏自身が、アツすぎたこの夏を振り返る!

この夏、一気に書き上げた「10万字」

 マンガ『インフォーマ』が年内にスタートする予定だが、一方で実は『ムショぼけ』のマンガも仕込んでいたのである。いや~、大変であった。ノイローゼになるんじゃないかと心配しちゃうほど大変だった。

―マンガ2作品同時連載開始だもんね!―

 なんのなんの。それだけではない。時を同じくして、書き下ろし小説を2冊同時に書いていたのだ(そのうちの1冊はサイゾー関係だ)。はっきり言っちゃうもんね! まだ1円ももらってない中で、これだけの仕事量をこなすのだぞ。普通できるか?

  マンガは連載が開始され、小説が校了してから、初めて原稿料や印税の支払いが始まるのである。その間、数カ月。

 それまでは、不眠不休なのだ。だってそうではあるまいか。書いても書いてもギャラが入ってこない以上、執筆以外の日常の仕事をこなしながら、空いた時間と寝る間を惜しんで書かなければならないのだ。

 小説2冊にマンガ2本だぞ! 何度もヘコたりそうになりながらも書いたさ。一番苦戦したのは、2冊目の書き下ろし小説だった。登場人物の名前を同時に考えるだけでも、「オレは三國志でも書いているのか…」と錯覚するくらい大変であった。

 もしかしたら、オレでもこれは完成させられないかもしれないな…と思ったのは初めてであった。だが、はっきりと手厳しく断言してやる。甘えているのだ。得られる印税とそれにかかる労力という費用対効果を考えて、やれなくてもしかたがないのではないか?と自分に甘えていたのだ。そうでなければ、衰えである。

 この作品を依頼してきた出版社とは、仕事をするのが初めてだった。担当編集者と2度ほど都内で打ち合わせを交わした際に、自分の抱えている仕事量を考えながら、素朴な疑問を投げかけた。

 「私が、本当に10万文字の小説を書き下ろしてくると思います?」

 それは自分への問いかけだったのかもしれない。何の保証もなく、途中で止まれば終わりという作業を、オレは本当にやれるのかと自分自身に聞きたかったのかもしれない。対して、年配の編集者は応えた。

 「はい。信用してますからー」

 私はこの手の言葉に滅法弱い。まだ、2回しか会ったことのない人である。それほどの信頼関係などできているはずもないのに、これが口説き文句となった。

 本当に何度もやめようかと思ったが、この夏中に10万文字を書くと言ったのは私である。夏の終わりまで2カ月。他の仕事量を考えれば、普通は無理だろう。だが、私は自分自身にドライブがかかれば、やれなくはないということも理解できていた。そうでなければ、そもそも引き受けはしない。

 だが、これまで15冊も本を出していれば、それなりの経験をしている。特に小説を2冊生み出す厳しさを知るゆえ、それを同時に行うことは生半可ではないとわかっていたから、「書き下ろせると思うか?」という言葉が私の口から飛び出したのだ。

 もちろん、内容が何でもいいということであれば、書けなくはない。だが、面白くないものや自分自身の過去の小説と類似した物語を書くことに、果たして何の意味があるのだと思っていたのだ。

 昔ならば、喜んで書いていただろう。だが、先にも書いたように、今はそれが甘えではないかと思っているのだ。

 実際、最初は何度書いても進まなかった。さまざまな手法を試みたが、しっかりとした起承転結が生まれてこなかったのだ。それでも諦めなかったのは、どこかで、―信用してますから―という編集者の言葉が引っかかっていたのだ。

 そして、結果である。しっかり書いてやりましたよ。夏の終わりまでに、担当編集者から「面白いです! さすがです!」と言われる原稿を10万文字、書きましたよ。

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