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鈴木清順、若松孝二の“遺伝子”を継ぐ男の咆哮!! 上映時間4時間超のパンクオペラ『いぬむこいり』

鈴木清順、若松孝二の遺伝子を継ぐ男の咆哮!! 上映時間4時間超のパンクオペラ『いぬむこいり』の画像3「勝手にしやがれ」のボーカル・武藤昭平がメインキャストに。ひょうひょうとした味わいの演技を見せている。

■精神的にギリギリまで追い詰められた有森也実

 4時間超の大作『いぬむこいり』に主演した有森也実は2015年の8月~9月をロケ地の鹿児島で過ごしているが、クランクアップの際に「一年間はこの映画の話はしたくない」と口にし、最近のトークイベントでも「女優をやめようと思った」と振り返っている。相当にハードな撮影だったようだが、主演女優を追い詰めたものは何だったのだろう。

「有森さんにとっては、本当につらい現場だった。有森さんが演じた主人公・梓は狂言回し的な立場で、熱演すればOKという役ではなく、素の姿でカメラの前に立つことが求められたんです。俳優って、役を演じているほうが楽ですから。撮影期間は1カ月半ほどでしたが、だんだん精神的に苦しくなっていったようです。僕はキャストに対して優しい言葉を掛けるタイプの監督ではありませんし、ヌードになることも大きな負担だったと思います。有森さんは僕が撮った『たとえば檸檬』(12)では依存症の女性を演じてもらったんですが、彼女の出演パートが終わる直前に東日本大震災が起きている。あのときも大変でしたが、今回もいろんなことが重なったみたいですね。ここ3年の間に、ご両親も亡くされたとのことでした。ポスプロ作業が終わって、映画が完成したら、有森さんも元気になるかなと思っていたんですが、初号試写のときはまだ完全復活はしていなかった。その後、いろいろ取材を受けて、インタビューを重ねていくうちに元気になっていった。映画って作品として完成すれば終わりではなく、お客さんに観てもらうことと同じくらい、取材を受けたり、レビューを書いてもらうことも大切。監督の僕もそうなんですが、インタビューに受け答えすることで、自分の内面を言葉として整理することができるし、いろんなレビューが出ることで、自分が気づかなかった視点も発見できるものなんです」

 有森也実演じるアラフォーの元教師・梓があらゆる世間の常識から解き放たれていく壮大なファンタジー大作『いぬむこいり』。ベテラン俳優の柄本明は三線の演奏と渋い歌声を披露し、島の女王に扮した緑魔子は生尻を振りながら妖艶なダンスを舞う。女王と対立する部族の王様は「頭脳警察」のPANTA。また、梓と行動を共にするオフビートなペテン師・アキラには、ジャズパンクバンド「勝手にしやがれ」が結成20年を迎えた武藤昭平が配役されている。異色なキャスティングの舞台裏についても聞いた。

「石橋蓮司さんは前半、緑魔子さんは後半、と同じシーンには出ていませんが、ひとつの作品に夫婦で出演するのは、すごく珍しいこと。石橋蓮司さんはゴロツキの革命家の役で早めに出演の承諾をいただいていたんですが、女王役はなかなか決まらなかった。それで僕が緑魔子さんの大ファンだったこともあって、蓮司さん繋がり(2人は同じ事務所)で、お願いして出てもらいました。『盲獣』(69)や『あらかじめ失われた恋人たちよ』(71)などに出ていた1960年代~70年代の魔子さんは本当に素敵です(笑)。『いぬむこいり』の魔子さんの宮殿のシーンだけ別の映画のようだと言われます。魔子さんが女王役に決まり、美術や衣装だけでなくダンスの振付けも入って、魔子さんもノリノリで演じてくれた。僕から『お尻を出して踊ってください』とはさすがに頼んではいませんよ。ダンスの練習をしているときに『このシーン、お尻を出しましょうか』と魔子さんから言ってくださった(笑)。お蔭で70歳を過ぎているとは思えない魔子さんの妖しいダンスシーンを撮ることができた。武藤昭平はミュージシャン役でちょっと映画に出たことはあるけど、ここまでのメインを演じるのは初めて。昭平が芝居できるかどうかは分からなかったけど、きっと行けるなという確信が自分の中にあって、以前も彼の主演ドラマの企画を考えていたんです。その企画は流れちゃいましたけどね。今回、昭平の芝居を初めて見たけど、なかなか達者。演技をしているというよりは、役に自分をうまく当てはめている。ミュージシャンは芝居がうまい。パフォーマーとして、役者と通じるものがあるんだと思いますよ」


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