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【ラッパー対談】裏社会のリアルに自伝とマンガで迫った漢&TABOO1の危ない絆 グラフィティ・ライターの日常も!

違法なグラフィティ界の事情をマンガに描けた理由とは?

TABOO1『イルブロス』(彩図社)

 TABOO1がマンガを描いたというと、ヘッズ(ヒップホップ・ファン)の中には突拍子もなく感じる人もいるだろうけど、こいつはラップを始める前から絵を描いてた。だから俺からすれば、『イルブロス』はすごく自然な作品。

TABOO1 うん。俺は昔から絵を描くのが大好きだったから。グラフィティもその流れで始めたし。ただ、グラフィティはいつでもどこでも自由に描けるもんじゃない。だから、自分の表現方法としてマンガを描けるようになりたかった。でも完全に独学だったから、マンガを描くために必要な最低限の技法を習得するのにものすごく時間がかかってしまった。ようやく形になったって感じ。

 これってストーリーは編集の人の意見も入ってるの?

TABOO1 基本的には俺が考えてるけど、起承転結の作り方は結構アドバイスしてもらった。まとめ方というか。最初はもっといろんな小話があったんだよね。けど、それだと散漫になって読みづらいから、グラフィティ・ライターの“TAM”とラッパーの“KONG”の話にフォーカスを当てたほうがいいとか、そういうことを教えてもらった。

MSCを率いながら新宿裏社会の現実をラップしてきた漢は、MCバトル番組『フリースタイルダンジョン』(テレビ朝日系)で初代モンスターも務めた。

 グラフィティってみんな街で何気なく見てると思うけど、普通の人はどういう人間が描いてるかはほとんど知らないはず。『イルブロス』には、そのへんが描かれてるのが面白い。ちなみに、俺はグラフィティ界隈の事情はよく知らないけど、こういうのって描いちゃってもいいものなの?

TABOO1 まぁ、このマンガはフィクションだからね。具体的な名前も場所も出てこないし。

 だけど、オープニングとか超生々しいじゃん。セフレっぽい女が帰るまで寝たふりするのとか、完全にお前の日常だろ?

TABOO1 なんか勘違いしてるようだけど(笑)、主人公のTAMは俺自身じゃないよ。

 そうなんだ? 俺は普通にお前だと思って読んでたわ。俺から見たお前は、こういう感じ。セフレが帰った途端に起きて、「あの女……、片付けくらいしとけっつーの」ってセリフとか超お前っぽいし。あと、ウケるのはTABOO1のヒーロー願望がちょいちょい垣間見られること。TAMが女の子をかばって刺されるとか。お前との付き合いは相当長いけど、これまでのお前にヒーロー的な要素を感じたことは一度もない。

TABOO1 フィクションだから(笑)。全体的に自分が好きな映画やマンガの影響が出てると思う。7話目の「Looking for job and …」に関しては、ソロ・アルバム『LIFE STYLE MASTA』に入ってる曲「ILL BROS feat. MC漢」のPV(12年)からの流れもあるんだよ。

 あのPVのアニメはTABOO1が描いたもんな。確かに、4話目の「Behind the Shinjuku city」に出てくる警官もPVに出てた。『イルブロス』を読むと、あのPVの前後のストーリーもわかるってわけね。じゃあ極端な話、PVを作ってた当時の段階から今回のマンガのイメージが頭のどこかにあった?

TABOO1 そうね。ちなみに、TAMが刺されるシーンは、さっき漢が話したオープニングとつながってるんだよ。つまり、セフレにヒドい態度をとった因果応報っていうかさ。そのTAMがホレた女も実は……。

 あの流れは、新宿区ならではのボーイズ・トークって感じだった。

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