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日韓だけが見ない中国サッカーリーグ

タグホイヤーから青島ビールまで…リーグ優勝賞金は驚愕の70億円! Jリーグも完敗の中国サッカー

札束が詰まったキャリーバック

 中国スーパーリーグを見ているとたびたび驚く。世界的な選手や監督があまりにも多く活躍しているからだ(下段コラム参照)。16年に、長春亜泰と山東魯能の試合を取材した際には、世界的な選手や監督に直接遭遇したこともある。韓国人であるイ・ジャンス監督を取材するためロッカールーム前で待機していると、欧州のおじさんにすれ違いざまに目であいさつされた。よく見ると、ドイツの有名選手・指導者のフェリックス・マガト(当時、山東魯能の監督)ではないか! 続いて身体が大きな選手がひとりロッカールームに入っていった。元イタリア代表のグラツィアーノ・ペッレである。韓国人のチェ・ヨンス氏が江蘇蘇寧で監督を務めていた頃には、ラミレス・サントス・ド・ナシメント(英プレミア・チェルシー出身)に直接インタビューすることもできた。

 選手を引き抜くため、各チームは多額の契約金をばらまいている。有名選手の“爆買い”だ。中でも最も大きな話題となったのは、16年12月、上海上港がチェルシーでプレーしていたブラジル代表出身のMF・オスカル・ドス・サントス・エンボアバ・ジュニオールを、6000万ポンド(約88億円)で引き抜いた事例だろう。チェルシーにとっても、過去最高の移籍金収入だった。ちなみに、Kリーグの最高移籍金記録もすべて中国スーパーリーグの球団が作った。全北現代でプレイしていたキム・ギフィが上海申花に行く際には約7億円が支払われている。2019シーズンも同じような金額で選手が移籍しており、これらは欧州の球団が支払う移籍金よりもはるかに高い水準だ。

 中国で活躍する世界レベルの選手たちの年俸の総額は、実際のところベールに包まれている。誰も彼らがもらっている正確な金額を知らない。欧州でプレイするトップクラスの選手たちの週給は5000万円程度となるが、それと似たようなレベル、もしくは高い金額をもらっているとの予測があるだけだ。というのも、欧州よりも少ない年俸で知名度や格が低いとされる中国でプレイする理由がないからだ。なお中国リーグは年俸だけでなく、“手当”も破格だ。同国で活躍した韓国人選手のひとりは、「手当のことは親友にも明かしたことがない」と話す。これは勝利給のようなもので、重要な試合で勝利すると、手当が詰め込まれたキャリーバッグを引いて家に行くという話も事実に近いという。筆者が確認した最大の手当額は、一試合900万円だった。

 冒頭に書いた「中国の人々にとって、金額は問題ではない」という命題は現在、世界中のサッカー関係者だけでなくファンまで感じ取っている。欧州や日本、韓国のサッカー界は「中国スーパーリーグは最も非効率的なリーグ」と非難するが、中国側はその非効率をあまり気にしていない。金額は問題ではないからだ。

 ただし、中国内では多額の金額を支払って選手を獲得しようという動きが制限されつつもある。中国サッカー協会は、オスカルの移籍騒動をきっかけに、移籍収支(=移籍金収入-移籍金支出)が赤字となる球団が一定水準以上の移籍金を使った際、“その100%を「サッカー発展基金」として支払うべし”という規定を設けた。また、最高移籍金や最高年俸などを制限する制度も協議されている。

 中国サッカー協会が移籍金と年俸を制限しようとしている理由は、「金満体質的な獲得競争が激化するから」ではない。それは、球団とスポンサーが巨額の金額を取り交わす際に、そのお金を横領する可能性を当局側が疑っているからだ。中国の関係者は、「欧州のマスコミに出てくる選手の年俸をそのまま信じてはならない。選手が高い年俸をもらっているのは事実だが、実際はそれほど大きな金額ではない」と証言する。習近平主席の就任後、中国は以前とは異なり、規制が非常に厳しくなっている。いくら大企業の会長といえども、会社の資金を勝手に使うことができない。そんな中、中国の複数の関係者は、巨額の移籍金や年俸を支給するようにみせかけて、その一部を横領している可能性があると指摘している。

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