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ラップと映画の禁忌

すべての初期衝動を映像に落とし込む! ラッパーANARCHYが映画『WALKING MAN』で表現したかったこと

ANARCHYが見据える次作への構想

主人公のアトムは吃音症であまり言葉数が多くないことから、表情の変化をしっかり映し出したかったと語ったANARCHY。

――映画でもっと入れたかった描写や、やりたかったけどできなかったことはありましたか?

ANARCHY 実際、採用しなかったシーンは結構あるんですよ。アトムは吃音症であまりしゃべらないんで、心境の変化を表現するためには顔の表情が変わっていくさまをちゃんと描写したかった。なので、本来は入れたかったシーンもあったけど、それがぼやけてしまったら意味がないと思ったんで、編集でカットしたり引き算ばっかでした。編集も全部立ち会ったんで、その間はライブもできないし、もうストレスだらけでしたよ(笑)。

 それと制作スタッフが何十人もいるから、ここはこうしたほうがいい、ああしたほうがいいとか、結構現場で揉めたりもしましたね。でも、結局最後は俺が決断しないといけないっていう毎日で。初めての監督仕事だったけど、俺が一番楽しんで元気にしてないといけない。そうした現場を作るのも監督としての仕事だろうなって。それと、制作に携わるスタッフのほうがみんな映画のプロでノウハウも知ってるんで、俺は監督って立場でしたけど、「大丈夫だよ、自分を信じて」ってアドバイスとかされてましたから(笑)。

――これまでのラッパーとしての人生の中で、そのまま感じてきたことを脚本にし、監督を務めることになったら、それこそタブーかつ面白い映画になるでしょうね。

ANARCHY 実際に監督をやってみて、すごくやり甲斐を感じた。俺って人の輪に入るのは苦手なんだけど、自分で輪を作るのは嫌いじゃないんですよ。なので、実はもう決めてるんですよ、次の映画。でも、内容に関しては内緒。ただ、次作もヒップホップを題材にするつもり、ってのだけは言っておこうかな。俺にできることはヒップホップしかないし、いきなりコメディ映画とかいうキャラでもないんで(笑)。

――それこそタブーに挑むのであれば、規制の緩いNetflixで制作するのはどうですか?

ANARCHY セックス・ドラッグ・バイオレンスの描写は要素として絶対に入れたいですよね。みんなが欲しがっている要素はわかってるつもりなんで。確かにNetflixであれば、映画館に行かなくなった若い子たちも観れるし、予算さえ確保できれば、早速やりたいっすね。めっちゃおもろいの作るんでNetflixさん、どうですか?(月刊サイゾー20年2月号『新しいニッポンのタブー2020』 より)

C)2019 映画「WALKING MAN」製作委員会

映画『WALKING MAN』

貧しい母子家庭で育ち、幼少期から吃音症でコミュ障のアトムは、不用品回収業のアルバイトで生計を立てる青年。母親は事故で入院、思春期の妹ウランは兄の存在を疎ましく思う。そんな彼がラップと出会い、最底辺の生活から抜け出すべく奮闘する。配給:エイベックス・ピクチャーズ

 

 

 

 

写真/cherry chill will

ANARCHY(あなーきー)

1981年、大阪府生まれ京都府育ち。95年にラッパーとしての活動を開始し、00年には京都の仲間たちと結成したヒップホップグループ〈RUFF NECK〉のメンバーとして注目を集める。06年のデビュー作『Rob The World』から本格的にソロ活動をスタート。08年にはラッパーとしては異例の自伝『痛みの作文』(ポプラ社)を出版し、話題となった。14年にはエイベックスとメジャー契約を果たし、コンスタントに作品をリリース。映画初監督作品『WALKING MAN』が昨年公開となった。

最終更新:2020/03/03 12:12
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