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TikTokで方言を使ったら配信停止に! 新型コロナ禍で強まる「広東語規制」

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 東京都の小池百合子知事が外出自粛を呼びかける動画を配信するなど、情報インフラとしても機能している動画アプリTikTokだが、本家中国では言論統制が強まっている。

 TikTokの中国版「抖音(ドゥイン)」にはライブ配信機能があるが、現地メディア「羊城網」(3月30日付)などによると、同25日、「彪新粤意(ビャオ・シン・ユエ・イー)」というユーザーがライブ配信を行っていたところ「『ライブ動画配信行為規範』違反のため、10分間配信を禁止する」との警告とともに強制的に配信が中断されたという。特に、わいせつな動画や、政治を批判するような内容を配信していたわけではない。原因は、広東語を使用していたからだ。

 こうしたケースは頻発しているようで、オウンドメディア「郷下台(シアン・シア・タイ)」も27日、ライブ配信を行っていたところ、全国の視聴者に配慮して普通話(標準中国語)を使うよう、警告が表示された。しかし同メディアは、フォロワーのほとんどが広東語話者であり、ライブ配信で広東語を使用することは必須だと反論している。

 規制はメディアに対してだけでない。広東省出身のタレントも北京語を話すことを強要されているし、あるユーザーは広東語のゲーム実況を視聴していると、たびたび配信が途中で停止するという。広東語を日常的に使用しているネット民は「広東語を母語とする視聴者に、広東語の配信を視聴する権利はないのか?」と不満を漏らす。

 正式には、抖音の規範では方言の使用は禁止されていない。しかし、抖音の交流コミュニティでは、方言や外国語の使用を制限していることが知られている。実際、「彪新粤意」がチャットで運営側に問い合わせると「広東語で配信する際は、普通話(北京語)を織り混ぜなければならない」との回答があった。方言への規制があるのは間違いないようだ。いずれにしても、中国共産党の顔色をうかがい、言論統制を強める中国のTikTokは、日本でイメージされるような自由なプラットフォームではないようだ。

 中国事情に詳しいフリーライターの吉井透氏は、広東語規制の背景について話す。

「広東省では2012年に『国家通用言語文字規定』なる条例が施行され、メディアなどで広東語を使用する場合、北京語の字幕を付けなければならないと規定された。これには、独立独歩の風潮が強い広東人を、ある意味“同化”したい中央政府の意向を受けた政策だったといわれています。そうした広東語規制がここへきて一段と強められているのは、新型コロナの混乱で政府への不信感が高まっていることを意識したものでしょう。広東省は自営業者や小規模経営者の割合も高いので、コロナショックで経済が停滞するなか、ひときわ不満も鬱積している」

 新型コロナウイルスは、中国共産党を一層強権的にさせるという「症状」ももたらしているようだ。

大橋史彦(ライター)

福島生まれ埼玉育ち。ライター。法政大学卒業後、06年に中国に移住。現在は埼玉と中国を行き来する。

おおはしふみひこ

最終更新:2020/04/13 20:00
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