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深読みCINEMAコラム【パンドラ映画館】Vol.586

PTSDに悩む帰還兵が選んだ最後の戦場とは? 米国の暗黒史『ランボー ラスト・ブラッド』

文=長野辰次(ながの・たつじ)

軍隊以外に居場所のない男たち

 

迷路のように複雑化した坑道に罠を仕掛けるランボー。暗い坑道は、ランボーの心の闇を表している。

 前作『最後の戦場』は超過激な殺戮描写が大きな話題となったが、今回もメジャー作品らしからぬ生々しいバイオレンス描写が盛り込まれている。結局のところ、ランボーは静かに老いることが許されない。戦いの中でしか、生きることができない哀しい存在だ。

 ひとりぼっちの軍隊「ランボー」シリーズを観ていると、野村芳太郎監督の『拝啓天皇陛下様』(63)を思い出してしまう。『拝啓天皇陛下様』の主人公・山田正助(渥美清)は家族に恵まれず、読み書きを習うこともなく成人した。正助にとって軍隊は、三度の飯を食わせてくれ、信頼できる仲間たちのいる楽園のような場所だった。「天皇陛下、万歳!」と唱えることで正助は、生きていることを実感できた。『男はつらいよ』(69)のプロトタイプとなった『拝啓天皇陛下様』には、軍隊以外には居場所を見つけることができない孤独な男の心の叫びが描かれていた。軍隊には、セーフティーネットとしての側面もある。

 戦争が終わっても、争いが絶えることはない。居場所を求めてさまよう溢れ者を、既得利権者たちは排除しようとし、社会の影はますます色濃くなっていく。ランボーはそんな影の世界の代弁者だった。ランボーはもうこれ以上、流れる血を見ずに済むのだろうか。

『ランボー ラスト・ブラッド』
監督/エイドリアン・グランバーグ 脚本/マシュー・シラルニック&シルベスター・スタローン
出演/シルベスター・スタローン、パス・ベガ、セルヒオ・ペリス=メンチェータ、アドリアナ・バラーサ、イヴェット・モンレアル、オスカル・ハエナダ
配給/ギャガ R15+ 6月26日(金)より全国公開
(c)2019 RAMBO V PRODUCTIONS,INC.
https://gaga.ne.jp/rambo

長野辰次(ながの・たつじ)

長野辰次(ながの・たつじ)

フリーライター。著書に『バックステージヒーローズ』『パンドラ映画館 美女と楽園』など。共著に『世界のカルト監督列伝』『仰天カルト・ムービー100 PATR2』ほか。

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最終更新:2020/06/05 20:00
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