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深読みCINEMAコラム【パンドラ映画館】Vol.639

ヒトラーと東條英機は大戦後も生きていた!?『アフリカン・カンフー・ナチス』の舞台裏

ヒトラーと東條英機は大戦後も生きていた!?『アフリカン・カンフー・ナチス』の舞台裏の画像1
ヒトラー(セバスチャン・スタイン)は、独・日・ガーナによる新三国同盟を締結。

 アドルフ・ヒトラーは第二次世界大戦後も生きており、ナチス帝国は今も存在する。そんな都市伝説は多くの人を魅了し、SF映画『アイアンスカイ』(12)や社会派コメディ映画『帰ってきたヒトラー』(15)などが公開され、スマッシュヒットを記録している。どちらも閉塞感漂う現代社会への痛烈な風刺が込められた内容だった。そんなヒトラー伝説を扱った作品に、さらに振り切ったアクション映画『アフリカン・カンフー・ナチス』(原題『African Kung-Fu Nazis』)が加わった。ヒトラーだけでなく、東條英機も生きており、アフリカで新たな帝国を築こうとしていた。しかも、空手パワーによって……。というトンデモ系カンフー映画となっている。

 妄想好きな中学生男子でもなかなか考えないような本作を企画・製作したのは、日本在住のドイツ人、セバスチャン・スタイン監督。「ガーナのジョージ・ルーカス」と呼ばれるニンジャマン監督とタッグを組み、ガーナロケを敢行。ガーナ人を洗脳して「ガーナアーリア人」に仕立て、世界征服の野望に再び燃えるヒトラーとその盟友・東條が、ガーナでカンフー修行中の若者と対決する。ヒトラーは生きていたという歴史改ざんものに、ブルース・リー主演の大ヒット作『ドラゴン 怒りの鉄拳』(72)、『燃えよドラゴン』(73)、さらにはジャッキー・チェンの出世作『ドランクモンキー 酔拳』(78)をごちゃ混ぜにしたようなカオティックムービーなのだ。

 ヒトラーにはまるで似てないヒトラーを演じているのは、セバスチャン監督自身。脚本はアルコール依存症の一歩手前状態だったセバスチャン監督が2日間で書き上げたそうだ。気になる東條英機に扮しているのは、セバスチャン監督とは旧知の仲というパンクロッカーの秋元義人。普段は「便利屋」を営んでいることから、セバスチャン監督の要望に応え、ガーナロケに参加している。ヒトラーも東條も空手の達人という設定だが、セバスチャン監督も秋元も上半身裸になるとどちらも中年のおじさん体型で、トホホ感が漂う。

 ところが、ガーナでキャスティングされた俳優たちは、なかなかの逸材ぞろい。身体能力がハンパない上に、カンフーアクションが実に決まっている。ガーナでも、カンフー映画がとても愛されていることが彼らの俊敏な動きから伝わってくる。さらに本作には日本では知られていない未知なる調味料が加味され、不思議な味わいを映画にもたらしている。

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