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深読みCINEMAコラム【パンドラ映画館】Vol.641

“愛に生きる女”高岡早紀が連続殺人鬼を怪演!! 劇場版『リカ 自称28歳の純愛モンスター』

愛に生きる女高岡早紀が連続殺人鬼を怪演!! 劇場版『リカ 自称28歳の純愛モンスター』の画像1
殺人鬼・リカ(高岡早紀)と刑事の奥山(市原隼人)は出会い系アプリで知り合う。

「雨宮リカ、28歳です」

 高岡早紀が笑顔でその台詞を口にするたびに、死体の数は増えていった。東海テレビ制作、フジテレビ系列で2019年に放映された深夜ドラマ『リカ』は、連続殺人鬼役の高岡早紀の怪演ぶりが話題を呼んだ。自称28歳、独身の元看護師・雨宮リカが新しい愛を求める劇場版『リカ 自称28歳の純愛モンスター』が全国の映画館で公開中だ。TV版以上に、よりグロテスクに、よりおかしみを感じさせるサイコサスペンスホラーとなっている。

 リカは口癖のように「雨宮リカ、28歳です」と繰り返すが、年齢も名前も偽りのもの。看護師として優れた能力を持っているものの、“運命の恋人”と結ばれることに全情熱を捧げている。リカにとっては、28歳がいちばんの結婚適齢期らしい。TV版では、総合病院の副院長・大矢昌史(小池徹平)、続いて映画プロデューサーの本間隆雄(大谷亮平)にリカは一方的な恋愛感情を抱き、リカの恋路を邪魔する者たちは事故に見せかけて次々と殺されていった。ホラー映画『ミザリー』(90)のキャシー・ベイツ、『ハンニバル』(01)のアンソニー・ホプキンス、『ラブリーボーン』(09)のスタンリー・トゥッチらが演じてきたシリアルキラーたちを掛け合わせたようなスーパーモンスターだ。

 劇場版の最初の犠牲者となるのは、TV版の最終回で辛うじて命びろいしたかのように思えた本間。警察病院から脱走したリカによって、本間は身動きどころか声を上げることもできない身体に改造されて3年間にわたって拉致監禁された挙句に、リカの大好物であるミートスパゲティを喉に詰まらせて死んでしまう。本間の遺体が発見されたところから、劇場版は幕を開ける。

 無敵のスーパーモンスター・雨宮リカ、自称28歳に、敢然と立ち向かうのは警視庁捜査一課に勤める奥山刑事(市原隼人)だ。本間が死んだことから、リカは新しい恋人を探すに違いないと推理。以前、リカと本間が出会い系アプリを使って知り合ったことから、奥山刑事も出会い系アプリに片っ端から登録する。奥山刑事自身が釣り餌となって、リカを誘き出そうとする。

 奥山刑事は「奥山ケイジ」として出会い系アプリに登録し、まんまと雨宮リカとの接触に成功する。奥山ケイジという偽名も安直だが、殺人犯として指名手配中でありながら「雨宮リカ」で登録し続けているリカも頭がおかしい。だが、恋する者たちの頭の中はフェロモンでいっぱいで、平常心ではいられない。「永遠の28歳」リカはTV版からずっとどうかし続けているし、奥山刑事もリカを逮捕することに夢中で、無謀にも単独でのアプローチを試みる。

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