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厚生労働省20年「児童生徒の自殺者が大増」発表… 前年比25.1%

家庭や社会環境の変化が大きい?

 さて、自殺者数の増加が最も著しかった高校生の原因・動機を見ると、男子では「学業不振」(26人)、「その他進路に関する悩み(入試に関する悩みを除く)」(24人)と2019年と1、2位に変化はないが、2019年に6位(9人)だった「親子関係の不和」が(15人)に増加して3位に、8位(7人)だった「失恋」が4位(13人)に上昇した。

 最も自殺者の増加率が高かった女子高生では、2019年に5位だった「病気の悩み・影響(うつ病)」が6人から21人に増加して1位となり、6位だった「その他進路に関する悩み(入試に関する悩みを除く)」が4人から20人に増加して2位、1位だった「病気の悩み・影響(その他の精神疾患)」が10人から15人に増加して3位となっている。

 こうした傾向を見る限り、児童生徒の自殺者数の増加は、新型コロナの影響による家庭環境や社会・学校環境の変化により、健康問題、特に精神疾患のよる影響が大きいものと見られる。

 自殺の原因は1つとは限らない。様々な要因が複合的に作用しているケースは多い。新型コロナによる休校により、学業に対する不安、進路に対する不安、友人関係への不安など様々な要因が重なっている可能性もある。

 国立成育医療研究センターが5月25日に発表した「コロナ×こどもアンケート」では、小学生から高校生までの457人中210人(46%)が新型コロナによって「友達と話す時間が減った」と回答、187人(41%)が「勉強の大変さが増した」と答え、183人(40%)が「学校に行きたいという気持ちが減った」と回答している。

 そして心配なのは、月別自殺者の推移でわかるように、2021年に入っても、1月(前年比7人増)、2月(同2人増)、3月(同5人増)、4月(同2人増)と増加傾向が続いていることだ。このまま行けば、2021年は2020年を上回る児童生徒の自殺者数になる可能性がある。

 厚生労働省、文部科学省、学校は家庭とともに児童生徒に対する十分なメンタルケアを行い、自殺者増加に拍車がかからないようにしなければならない。

鷲尾香一(経済ジャーナリスト)

経済ジャーナリスト。元ロイター通信の編集委員。外国為替、債券、短期金融、株式の各市場を担当後、財務省、経済産業省、国土交通省、金融庁、検察庁、日本銀行、東京証券取引所などを担当。マクロ経済政策から企業ニュース、政治問題から社会問題まで様々な分野で取材・執筆活動を行っている。「Forsight」「現代ビジネス」「J-CAST」「週刊金曜日」「楽待不動産投資新聞」ほかで執筆中。著書に「企業買収―会社はこうして乗っ取られる 」(新潮OH!文庫)。

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最終更新:2021/07/14 21:00
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