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映画『コンビニエンス・ストーリー』公開記念インタビュー

三木聡監督の新作は“違和感を楽しむファンタジー” あの『大怪獣』についても語る

貴重な体験だった『大怪獣のあとしまつ』の反響

――『大怪獣のあとしまつ』は違った宣伝方法を、『音量を上げろタコ!』は公開館数を絞っていたら、異なる評価を受けたように思います。

三木 いや、でも『大怪獣のあとしまつ』はあれはあれで、面白い体験でしたよ。映画の初日から非難轟々になって。

――ネット上のコメントを三木監督も読まれたんですね。

三木 「SNSとか全くやらないんで、 直接見たりはした訳じゃなくて、あくまで聞いた話ですが、「こんなクソ映画はない」という声に、「そう?」 みたいなリアクションもあったりしてたそうで、面白かったですね。自分が思っていたものと違った、ということですよね。カレー屋に入ったのに、すき焼きが出てきたみたいな。それ以外にもいろんな反応があった。でも、観た人にそれだけ思ってもらえた、という幸せもあるんです。これは開き直っているわけではなく、クソ映画と思ったことも、観た人が感じたことなわけです。何も感じてもらえないほうが作り手としてはショックですよ。何かを感じて、意味を埋めようとしたり、ネットにコメントを書き込んだり、それだけ気持ちが動いたということ。憎いも愛しているも一緒なわけです。

――『大怪獣のあとしまつ』をスクリーンで観た人は、10年後や20年後に「すごい映画を観た」と自慢するんじゃないでしょうか。

三木 ネット上の投稿は全く読んでないんですけど、話を聞いた感じからすると、貴重な体験をさせてもらったと思っています。よっぽど好きな映画なら「好きだ」と書くかもしれないけど、そうではないわけでしょ。これはこれで、豊かさのひとつでもあると思います。やっぱり怪獣映画の原理主義者もいて、その人たちの怪獣映画に対する深い愛情を知ることができたのもよかった。

――三木監督自身が、メジャー大作や特撮映画という異世界を体験してきたわけですね。

三木 そうですね。そうした体験から感じた気分みたいなものも、作品には反映されていると思います。映画にはどうしてもドキュメンタリー的な側面がありますから。もっと商業的に映画を撮る監督なら違うんでしょうが、自分は見たことや感じたこと、自分の癖なども反映させていくタイプだと思います。なので、今の質問を否定はできませんね。

――『ボトルメッセージ』にはコロナ禍以降の社会全体への不安感、現実世界に対する違和感も感じさせました。

三木 疫病や地震などに加えて、海の向こうでは戦争まで始まった。『風の谷のナウシカ』(84年)かよ、って世界になりつつある。第一次世界大戦時によく似た状況です。戦争と同時に、スペイン風邪が大流行している。『ツィゴイネルワイゼン』もそうでした。中砂(原田芳雄)の奥さん(大谷直子)はスペイン風邪で亡くなるんですよね。『ツィゴイネルワイゼン』みたいな世界に、現実が近づいてきている。

――『ツィゴイネルワイゼン』でまとめていただき、ありがとうございます。

三木 まとめるつもりはなかったけど、『ツィゴイネルワイゼン』の話題に戻っちゃいましたね。こんな天変地異が続く時代に自分らがいるということも、「生きている」ということなんでしょうね。もちろん、安定した世界を求める人たちの気持ちは分かりますが、映画体験として異界を楽しんでもらえればと思います。異界に行って、戻るのか、それとも戻らないのか。まぁ、戻ってこないとマズいですけど(笑)。

 

『コンビニエンス・ストーリー』
監督・脚本/三木聡 企画/マーク・シリング
出演/成田凌、前田敦子、片山友希、岩松了、渋川清彦、ふせえり、松浦祐也、BIGZAM、藤間爽子、小田ゆりえ、影山徹、シャラ ラジマ、六角精児
配給/東映ビデオ 8月5日(金)より全国公開
©2022「コンビニエンス・ストーリー」製作委員会
conveniencestory-movie.jp

 

三木聡監督の新作は“違和感を楽しむファンタジー” あの『大怪獣』についても語るの画像3
三木聡(みき・さとし)
1961年神奈川県生まれ。シティボーイズのライブの作・演出を1989年から2000年まで務め、『タモリ倶楽部』(テレビ朝日系)、『ダウンタウンのごっつええ感じ』『トリビアの泉』(フジテレビ系)などの人気バラエティ番組に放送作家として参加。
奥田英朗原作『イン・ザ・プール』(05年)で映画監督デビューを果たし、『亀は意外と速く泳ぐ』(05年)、『図鑑に載ってない虫』『転々』(07年)、『インスタント沼』(09年)、『音量を上げろタコ! なに歌ってんのか全然わかんねぇんだよ!!』(18年)などの監督作を発表している。2022年2月に公開された『大怪獣のあとしまつ』は7月13日にDVDがリリースされたばかり。その他、TVドラマの脚本&演出に『時効警察』『熱海の捜査官』(テレビ朝日系)、配信ドラマ『緊急事態宣言』の一編『ボトルメッセージ』などがある。

最終更新:2022/07/29 11:00
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