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世界は映画を見ていれば大体わかる #40

「法が腐ってるんだ」Uberの栄枯盛衰を描いた『スーパーパンプト』が痛快すぎる!

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U-NEXT『スーパーパンプト/ Uber -破壊的ビジネスを創った男-』公式サイトより

 U-NEXTで配信中の『スーパーパンプト/ Uber -破壊的ビジネスを創った男-』はライドシェアビジネスの大手Uberの元CEO、トラヴィス・カラニックの栄枯盛衰を描く連続ドラマ。2010年に設立した同社はわずか数年で一流企業に成長し、如何にしてIT業界に変革をもたらしたのか?

「君は自分をクソだと思うか?」

 Uberで働きたいと応募してきた若者に男は質問する。男の名はトラヴィス・カラニック。「シリコンバレーのなかで最も成功したスタートアップ企業」「最も破壊的なユニコーン(創業10年以内、評価額10億ドル以上、未上場、ベンチャー企業の4条件を満たす企業)」として知られるUberのCEOだ。演じるのはジョセフ・ゴードン=レヴィット。『インセプション』『ダークナイト・ライジング』などで知られる俳優で、本作では清々しいほどの‟クソ野郎”に扮している。

「自分をクソだと認識しなきゃ、この世界じゃ通用しない」

 トラヴィスはサンフランシスコで配車サービスUber cabを始める。サンフランシスコではとにかくタクシーが捕まらない。予約しても来ないし、手を挙げたって止まってくれない。あなたが有色人種だったら? 差別されて乗車拒否にあうかもしれない! サンフランシスコのタクシー業界はクソだ! クソを俺たちが掃除してやる!

 彼の革新的なビジネスに魅せられた投資家ビル・ガーリー(カイル・チャンドラー)の支援を取り付けたトラヴィスは、意気揚々と配車サービスを開始するが保守的なタクシー業界とサンフランシスコの交通安全局を敵に回し、秩序の破壊者と蔑まされる。だがその程度で怯む男ではない。

「俺たちは創造的な破壊者だ! これは世界を変えるビジネスだ!」

 トラヴィスは嫌われようが恨まれようが知ったこっちゃないと、自分の信じた道を突っ走る。Uber cabは登録したドライバーが、自分の車で好きな時間に走ればいい。主婦が空いてる時間に小遣い稼ぎをするのも可能だ。客はモバイルアプリで車を呼べばすぐに来る。料金は電子決済だから呼ぶ、乗る、降りるがスムーズ。待たなくていい、面倒でもない。まったく新しい交通手段だ。このアイデアは共同経営者のギャレット・キャンプが考案したが、これを実現化させたのはトラヴィスだ。トラヴィスの障害物を避けずに一直線にぶち壊していく行動力がなければ、Uberは成功しなかったろう。

 成功に向けて突き進むUber(後にトラブったので社名からcabを抜いてUberだけにする)だが、2014年にポートランドでこのビジネスが違法とされている地域で法執行官がおとり乗車をして、多額の賠償金をふっかけ、登録ドライバーから車ごと取り上げるという「反Uber」運動が巻き起こった。

 この解決策としてトラヴィスはUberのアプリに、グレイボールというソフトを仕込む。アプリに登録している利用者の個人情報からおとり捜査官らしきユーザーを特定し、そのユーザーにはUberの車が絶対に止まらないようにした。

「これって違法じゃ?」

と眉を顰めるスタッフにトラヴィスは言い放つ。

「法そのものが腐ってるんだ」

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