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明石家さんま、コンプラ対策に「ついていけない」…大物芸人がラジオで本音を吐露

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『ヤングタウン土曜日』MBSラジオ 公式サイトより

 芸人にとってのラジオ番組とは、最も「素に近い自己表現」が出来る場なのではないだろうか。昨今のテレビ番組はスポンサーや世間の顔色をうかがって発言することが当たり前になっており、昔のバラエティ番組のように芸人が世間体を気にせず、思うがままにお笑いをすることが出来ない状況になっている。

 元々芸人を目指しているような人たちは真面目であることを窮屈に思い、一般的な日常では出来ないことや振り切った世界観に憧れてお笑い界に入ってきている人が大半だ。そんな芸人の本性を抑えなければテレビに出られない今、芸人たちはどこでそのストレスを発散し、不真面目と真面目のバランスを調整しているのか。それは「ラジオ」だ。

 ラジオ番組も昔に比べるとコンプライアンスが厳しくなってきているとはいえ、テレビに比べるとまだまだ自由度は高い。なのでラジオ番組ならではの「芸人の本音」が聴けることが多く、コアなファンの間では、その芸人の本質を知るにはラジオ番組を聴くのが一番だという意見すらある。

 そんな芸人の素が垣間見えるラジオ番組は、ベテラン芸人にとっても息抜きの場になっていることが多く、今回はそんなベテラン芸人がラジオで漏らした本音を分析していく。

 とあるネット記事に書いてあったのだが、18日の深夜に放送されていたMBSラジオ「ヤングタウン土曜日」にて、「明石家さんま」さんに対してリスナーからこんな質問が届いた。「最近、ラジオのアシスタントや、『(さんまの)お笑い向上委員会』(フジテレビ系)のアシスタントにキツいことを言わなくなったのは、コンプラ対策では?」と。

 これに対してさんまさんは「これは本当にコンプライアンス、ならびに炎上(対策)」と回答したのだ。あのお笑い怪獣「明石家さんま」さんがなんとコンプライアンスを気にしていたという驚きの展開。さらに「タレントが全部、今その方向で来てるし、ディレクターもキツいこと言うてもカットするしというのが、このご時世」と続けた。

 さすがのさんまさんでもテレビ業界に押し寄せるコンプライアンスの波はどうすることも出来ないのだろう。さらに「やっぱり我々世代はついていけないんです、今のコンプライアンス世代の言葉のチョイスに対して。それは言われてるような感じです。申し訳ない。キツイこと言ってもカットされてます。昔ならOKだったりしてても。頑張ってる方やと思うねんけど、困ったもんやね……」と嘆いた。

 これはテレビでは見ることの出来ない「明石家さんま」さんの本音の部分で、ラジオだけで見せる素の姿なのではないだろうか。現在放送されているバラエティ番組をチェックし、時代の変化にも柔軟に対応しながら、常に前に向かって進んでいるように見えた明石家さんまさんなのだが、そんなさんまさんもやはり昔のテレビ番組の方が良かったらしく「昔のテレビは面白かったね。その相手に対してのキツい言葉も考えたからね。『どうしたらウケるのか』っていうのを。もちろん、テレビ番組は規制がずっとあるんですけど、その中で一番頂点の言葉をチョイスしていたのは事実」と告白した。

 この言葉から察すると、今まで試行錯誤しながらためこんできた言葉の引き出しの中には、状況に合った言葉がランク分けされていて、この状況ならこれが一番面白いというツッコミやボケの言葉があるのに、その言葉自体が時代的に使えない言葉になっており、やむなく2番目や3番目に面白いと思う言葉を出している状況なのだろう。

 1番面白いと思う言葉があるのに出せないというのは芸人として、そして「明石家さんま」として辛いはずだ。もちろんテレビに出続けたいのならば、若手だろうが中堅だろうがベテランだろうが、過去の面白かったテレビの時代を封印し、今の世の中に合った笑いを提供しなくてはならないし、変にこだわっている場合ではない。そもそも昔のテレビの面白さを知らない世代にとってはそれが芸人の当たり前の姿になるのだから、特に問題はないのだ。

 ……そう割り切れないから芸人はやっかいなのだ。時代には関係なく叩かれようが炎上しようが面白い事をやりたいのが芸人なのだ。

 25日、ニッポン放送のラジオ番組「さまぁ~ずのさまラジ」にて、リスナーから届いた、ネットなどで配信されていたバラエティ番組「内村さまぁ~ず」は現在のコンプライアンス的にアウトだったから面白かった、というハガキが紹介された。

 これを聞いた三村さんは「今、コンプライアンス、ギリアウトの番組をやってみたいよね。これはダメでしょってことを、ビクビクしないでやってみたい」と発言。それに対して大竹さんは「でも、コンプライアンス守るためのモザイクとか、ピー音をわざと入れるってのは、それが面白いから、コイツやべーこと言ってんぞみたいな感じなんだよね」とコンプライアンスを逆手に取った笑いを提言したのだ。

 一見真逆のことを言っているように思うかもしれないが、三村さんはギリアウトなことが面白いと言い、大竹さんもコンプライアンスで制限されている部分が面白いと言っているので、2人とも面白いと思う部分は同じなのだ。

 さんまさん然りさまぁ~ずさん然り、ベテラン芸人さんの本音を聞くと、お笑い界の現状に不満を持っているのは間違いなく、バラエティ番組の面白さレベルが下がっていると感じているのも紛れもない事実だ。

 締め付けがきつくなる一方のバラエティ番組の現状を打破するのは、これから登場するニューウェーブではなく、古き良きを知るベテラン芸人なのかもしれない。

 ちなみに大竹さんの「コンプライアンスを逆手にとった笑い」の究極の形である「最初から最後まで全モザイクでずっとピーピー言っているような番組」はもしかしたらかなり面白いかもしれない。……訳が分からな過ぎて、コンプライアンス的にじゃなくお笑い的にアウトか。

檜山 豊(元お笑いコンビ・ホームチーム)

1996年お笑いコンビ「ホーム・チーム」を結成。NHK『爆笑オンエアバトル』には、ゴールドバトラーに認定された。 また、役者として『人にやさしく』(フジテレビ系)や映画『雨あがる』などに出演。2010年にコンビを解散しその後、 演劇集団「チームギンクラ」を結成。現在は舞台の脚本や番組の企画などのほか、お笑い芸人のネタ見せなども行っている。 また、企業向けセミナーで講師なども務めている。

Twitter:@@hiyama_yutaka

【劇団チーム・ギンクラ】

ひやまゆたか

最終更新:2023/03/10 13:00
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