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ワンオク『Luxury Disease』はやっぱりメンバーのおっさんをビンビンに感じる全曲レビュー

ワンオク『Luxury Disease』はやっぱりメンバーのおっさんをビンビンに感じる全曲レビューの画像1
ONE OK ROCK 公式サイトより

 この場を借りてがどの場なのかと言われるとそれは広大に広がるネットの海の何処でありおっさんが発言するここはその中でもまあまあヘドロっとる腐海寄りの所にごぜえますですよと言うお話ではあるのだが、何はともあれ、ワンオクの皆様、国内ドームツアー、本当にお疲れ様でした。

 何でもファイナルの札幌ドームでは新曲も御披露なすってアンコールも2曲追加なすってで、お次はMUSEのツアーに再帯同との事ですってんで、それではお聴き頂きましょう、俺が人生初めてライブ行った海外アーティストである事でもお馴染みなMUSEの「Dead Star」。

 これまでの経緯を述べるに前回の記事からのおっさんは

・ドラマガの仕事でワンオクの全アルバムを聴き込む
→新作「Luxury Disease」に俄然興味が湧く

・「Luxury Disease」を聴き込む
→沸く

・推し曲が出来たのでサイゾーにて執筆をする(これが上述の前回の記事す)
 

・ドラマガの仕事でベルーナドーム2日目へ行く
→何つうタイミングかと思うのだが、まさかここでおっさんにライブレポの仕事が入ったのである。ありがたく書き、そしてありがたく、沸く

・「Luxury Disease」を聴き直す←今ここ

てな所なのである。

 ライブを経て聴き直してみるに当たって改めてやはりこの曲が、このフレーズが、このディストーションギターによるミュートアルペジオが、新作のオープニングを飾ってくれる事は素直に嬉しい。

 それは15年以上に渡る活動に於ける作品群での様々な挑戦、そして前作「Eye of the Storm」に顕著なロックの解体的な作業を経た上でファーストの「ゼイタクビョウ」の英訳である『Luxury Disease』と名付けられた本作と来て、解体の先にあったものが再構築であった事を高らかに宣言するに選ばれた音が、歪んだギターであったという采配が、やっぱどう考えてもエモいんすようんという「Save Yourself」からの前回偏愛的に語った「Neon」と続き、「Vandalize」。クランチ気味のカッティングフレーズと、絡む様な変則エイトビートが心地良いミディアムチューンであるが、纏うのは清涼感ではなく荒涼感っつうのがシブいぜニクいぜオトナだぜ好きだぜ。

 何がシブくてオトナかっつうと、サビでもカッティングはステイだしハットもクローズしたままの進行で、その後のCメロ的な展開にのみコードストロークが大振りになりハットもオープンになるという、楽器的な抑揚が実はここにしか使われていないという、その燻し銀な采配(しかもこのCメロに当たる部分はたったの10数秒)からの答え合わせ的な日本語詞が中心となったラスサビへ着地する流れだ。演奏のアプローチに言及する内容となってしまったが、一聴して分かる通りドラマチックにアップダウンする歌メロと対比すると、おっさんの長話にも頷いて頂ける筈。

「When They Turn the Lights On」は色々と衝撃的だったのではないだろうか。少なくともおっさんはそうであった。けれどもこれこそ前回「歌メロに全振ってみた」と書いた「Eye of the Storm」でのロックの解体からの再構築の答えである様な気がしており、そうして聴くとめちゃくちゃに頷ける。前作の打ち込みとシンセではなく、歌メロに注視してもっかい聴き直してみるとやっぱ前作からしっかり歌メロは大仰チックな方向に向いていた様に思うし、ロックバンドで歌メロ大仰で生楽器あんま鳴ってないっつうとやっぱIMAGINE DRAGONSとかが下敷きとしてあったのだろうか、なんて話はまあ、置いておくとして、そこにストレートに大仰な演奏をぶつけるという、とってもシンプルだけど大胆で、経緯を知れば知る程味わい深きで罪深きな英断。

 ギターなんかハモっちゃってるじゃないですか。たまらんよ。サイコーだよ。

 にしてもこの曲、鳴ってる音が本当に全部キラキラしとるつうか音が躍動しとるつうか、マジで楽しそう。ライブでも終盤どころかアンコール1曲目に配された事なんか考えると、より一層増しますよね。旨味が。

 サビ前半のちょいラテンなアコギと抑制された歌い口が再びの荒涼感を醸す「Let Me Let You Go」の哀愁は、続くがっつりアコギをフィーチャーした「So Far Gone」で更にブーストされる。これはもうあからさまにポストグランジしており、やれニッケルバックやらステインドやらパドルオブマッドやらクリードやらを聴いてたし、パワーバラード的でもあるので、ジャーニーやらボストンやらエイジアやらデフレパードやらを聴いてた(今も好きだし、聴きます)おっさんのハートを鷲掴む。

 ぶっちゃけ今作、ミドルエイジ(即ちおっさん)に差し掛かったワンオクが”まあ色々やったし歳も歳だしそろそろベタなのもやってみっか!”的な空気感をビンビンに感じる次第であり、だからこそ今作から香るこの”ワンオク流スタジアムロック”が俺にとってはマジで目から鱗で、先に述べた前作の”本気でナウくてベタな歌モノやってみました”がまさか、スタジアムロックへの挑戦の伏線だったのかあああ気持ちいいいとなっているのだ。

 こういうのが音楽媒体ではあんま書けないからこそ、こうして自由にして奔放にして混沌な論評を繰り広げているのであるが、聴き方、並びに刺さり方には色々あんだよっつう事でどうか怒らないで欲しいしその考えに基づいて前作を聴き直すと実は、前作にも歌メロだけに注力して聴けばポストグランジ/パワーバラードしている曲が多く、「Wasted Nights」なんかがより一層好きになった(めっさパワーバラードだから)なんつう効果もありました。

 跳ね回るリズムパターンに加え、それ以上に跳ね回る譜割りが聴感以上に体感に気持ち良く作用する「Prove」と来て、お次も個人的に、いやこれは皆様的にも衝撃的であった事であろう「Mad World」。歌詞中に尾崎豊「15の夜」を登場させ、若かりし頃の自身、そして事象の大小を問わず誰にでもその時期にあったと思われるモラトリアムについてを歌い上げる。

 これぞ正におっさん宣言に他ならぬ表現であるし、ライブでも、そして他誌面に於いても度々発言している、若い世代への継承を楽曲化した物であるのではなかろうか。

 敢えて片仮名で綴られ、そして発音も日本語として歌われている”セカンドバースデー”という箇所がキーワードであり、おっさんが高らかに曲として歌詞としてそう宣言出来る彼等の今に、殊更強く惹かれる理由が明確化されている様でもあった。参った。

 朗々たるツインボーカルが贅沢即ちLuxuryに耳と心を満たしてくれる「Free Themfeat. Teddy Swims) 」クレジットにもある通りではあるが、此度のフィーチャリング相手はアメリカのシンガーソングライターであるTeddy Swims。実は彼も元々はバンド出身であり、WildHeartなる名義でバンドってた頃のこちらの曲がなかなかにカッコ良いので聴いてみて頂きたい。

 別曲になるがMVもありますぜ。バンダナのヒゲモジャさんがTeddy Swimsその人。何故に船上パーティーがそのままMVになっとるのかは謎ですがつうかこのバンドもめっさパワーバラード的な音楽性だったんすね。

 お次は今月頭5/5のニューアルバム発売オメとその前日に盗作疑惑裁判の勝訴オメ(なかなかに興味深い話題であったので気になる方は検索してみてね)であったEd Sheeranとの共作曲である「Renegades」。

 エキゾチックなリフとユニゾンする力強いコーラス、そしてパーカッシブなリズムパターンがディープなトリップ感を演出する。バンドとそれを支持するファンとの関係を一つの思想に基づいた国だと仮定すれば、当曲は曲調的にも歌詞的にもその新たな国歌だと捉えておっさんは聴いてました。奮い立つぜええ。

「Outta Sight」。これがまた「Neon」の次点くらいにおっさんが激ツボった曲でして、「Vandalize」の荒涼感をもう少し都会的に寄せて来た印象。BPMは爽快に疾走する流れであるのに決して派手な展開は行われず、ドラムなんか「Vandalize」同様にハットはクローズのまま淡々とした進行。このクールに疾走するアレンジがたまらんのですよ。シブいなあ。

 切ないサビメロ終わりからカウンターメロディとして鳴らされるギター(?)の単音メロディがまた一層切なくてたまらんのですよ。いやはや、シブいなあ。ついこないだ深夜の高速道路をドライブしながら聴いてみたんすけど、めちゃくちゃ相性良いのでオススメですがどうかそこは安全運転でお願いしますね。

 続いてはまた今作のテーマである、大仰路線ここに極まれりな楽曲が2曲続けられるというアルバム後半のハイライト(個人的な)である。その後は日本版のみで聴ける「Broken Heart of Gold」そして「Gravityfeat. Satoshi Fujihara)[OFFICIAL HIGE DANDISM]」の流れで締められるのであるが、ちとこの2曲について字数を割かせて欲しい。

 敢えて言いますがこの2曲即ち「Your Tears are Mine」と「Wonder」がめちゃくちゃにダサい。もう本当にダサい。前者のサビの折り返しに入る”ジャジャジャーン! ジャジャジャーン!”とか2Aの裏メロとして鳴るギターがまたもやハモってたりとか、何ならその後2サビ裏ではピロピロまでやり出す始末である。たまらんよ。サイコーだよ。

“I’ll stay with you till the dark fades”の箇所は”闇がいつかフェードアウトする時までボクはキミのそばにいるよ(おっさんによるクソ意訳)”なんて感じなのだがそんな暑苦しく歌われたら闇が秒で逃げ出すわというくらいあのガンガン上がってくメロディの最高音までをも地声でやり切ると言う熱血歌唱。たまらんよ。サイコーだよ。その後は裏声でサビに戻るっつう落差もまたたまら(ry

 そして後者だ。これをライブを観た事のある方なら共感してくれるであろう。あのサビの謎の振り付け? ステップ?である。誰がやろうと言い出したんだろうアレは。実は今作で1番の衝撃は紛れもなくアレ。曲で言えばもうとにかく随所に入る”ジャージャージャーン!”のキメだ。

 これぞスタジアムロック或いはアリーナロックと言える古典的なキメを堂々と(飄々とでもあるかも知れない)鳴らしつつ、あの謎のステップを踏むというその胆力がマジでカッコいい。本当にカッコいい。

 だって近年の国内ロックバンドに於いて、ここまで”ダサカッコいい”と真面目に向き合い、真剣に取り組んでいるバンドがいるだろうか? こんな音楽を演っとるバンドなんかそれこそ世界規模でみても稀である、ワンオクじゃないと聴けない音楽がそこには鳴っとるのだ。

 それは恐らく何度も言うがメンバー自身の年齢が30代半ばを迎えんとする所謂”おっさん”である事とも正直に向き合い、そして年を重ねながら音楽を鳴らす事、或いは年を重ねないと鳴らせなかった音楽の事をきっとめちゃ楽しんでいるであろうとおっさんには伝わり、だからついつい手が伸びてしまうのであろう。

 ダサカッコいいは素晴らしいのだ。

 つう訳で日本ではWBCのテーマ曲としてお馴染みでもあるのだが、歌詞はめちゃくちゃ別れの歌だからWBCのテーマとしてはどうなんだろうといつも思ってるけどおっさんはジャーニー大好きだからまあいいかと思ってますしきっとダサカッコいいの世界チャンプでもあるこの曲でお別れするとしよう。必見のMVでありレキシが「KATOKU」と言う曲でモロにパクったりもしているので、2曲続けて、どうぞ。

ジャーニー「セパレイト・ウェイズ 」

レキシ「KATOKU」

庄村聡泰(コラムニスト・スタイリスト)

ロックバンド[Alexandros]のドラマーとして2010〜21年に活動。バンド時代の収入ほぼ全てを注ぎ込むほど傾倒した音楽や洋服を中心に、映画やマンガ、アニメやグルメ、世界各地の珍スポットなどのさまざまなカルチャーに精通し、これらの知識と経験を生かしてライフスタイル提案型ファッションブランド「スナック NGL」を始動。また、歌劇な過激団 @furaku_taru の制作総指揮を務めるなどプロデュース活動や、#サトヤスタイリングとしてファッションスタイリングや、#ショウムライターとして音楽や映画をはじめさまざまなメディアでインタビューやコラムを執筆。自ら映画にも出演するなど精力的な活動を広げている。 #サトヤスタイリング #ショウムライター インタビュー

Twitter:@shomurasatoyasu

Instagram:@shomurasatoyasu

庄村聡泰のホームページ

しょうむらさとやす

最終更新:2023/05/27 21:00
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