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BPO「痛みを伴う笑い」制限で中堅芸人が追い詰められる現状

BPO「痛みを伴う笑い」制限で中堅芸人が追い詰められる現状の画像1
ダチョウ倶楽部 太田プロダクション 公式サイトより

 少し前にダウンタウンの松本人志さんが『ワイドナショー』(フジテレビ)でこう発言した。

「ダチョウ倶楽部の芸とかお笑いがテレビではやりづらくなってて。そういう思いとかジレンマとか、”痛みを伴う笑い”がダメと言われてしまうと、熱湯風呂とか熱々おでんとかもできない。僕はあの芸が有害なんてちっとも思わないし、それだけが理由とは思わないですけど”BPOさん、どうお考えですかね?”とちょっと思いますね」

 そう、この言葉は先日亡くなったダチョウ倶楽部・上島竜兵さんの死を悼んだ、松本さんが投げかけた言葉だ。

 それだけが理由とは思わないとも言っているが、少なからず放送倫理・番組向上機構(BPO)が「痛みを伴うことを笑いの対象とする」テレビのバラエティ番組について「青少年が模倣し、いじめに発展する危険性も考えられる」とする見解を公表したことにより、上島さんは芸人としての自由を奪われ、悩み苦しんでいたのではないか、と言い表している。

 今の芸人たちはコンプライアンスという正義と世間の目によりがんじがらめにされている。少しでもコンプライアンスに反すると正義の鉄槌が下り、炎上という形をもって懲らしめられる。そのせいで最近、鬱状態に陥っている中堅~ベテラン芸人が少なくないと聞く。時代に準拠しているとはいえ、多くの芸人を追い込んでいるその正義は果たして、正しいのだろうか。

 今回は個人的に思うことを書こうと思っているので、多少時代にそぐわない発言があるかもしれないが、できるだけ温かい目で読んでいただけると嬉しい。

 まず初めに僕が思うのは「青少年が模倣し、いじめに発展する危険性がある」というのはごもっともな意見だが、今の青少年がなにが良いか悪いかの判断さえ出来ていないのがそもそもの問題ではないか?

 ダチョウ倶楽部さんの熱々おでんはつい最近、始まった芸ではない。僕が子どもの頃、片岡鶴太郎さんがしょっちゅうテレビでやっていたが、子どもたちは誰一人真似しようとはしなかった。ましてや誰かに食べさせようなどとは断じて、思わなかった。つまりこの芸は“模倣してはいけない”とわかっていたのだと思う。

 当時の子供たちが模倣したのは、ドリフターズで志村けんや加藤茶が発するギャグであったり、ひょうきん族で流行った「鹿のフン」という歌だったり、とても平和なものだった。今の青少年たちがいじめが良いか悪いか判断ができないのは親や学校の責任であって、バラエティ番組の責任ではない。ましてやテレビをつまらなくしてまで、教えるべきことではないのだ。

 それぞれの家で、それぞれの学校で子供たちと向き合い、何が正しくて何が間違っているかを教えていれば、テレビに左右されることもない。「子供に見せたくない番組」という話も昔はよくきかれた。

 ましてや今のテレビは当時より親切で“特殊なろうそくを使用しています”や”特殊な訓練をつんでいるので真似しないように”など注意書きを入れたり、熱々おでんや熱湯風呂などは「これは熱すぎるだろ! お笑いをわかってないのか!」のように、あくまでもエンターテインメントでやっているとわかってもらう発言が飛び出すことも多い。ここまでしてもまだ、締め付けられてしまうのかと思うと、テレビ界が不憫でしかない。

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