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深読みCINEMAコラム【パンドラ映画館】vol.553

助成金問題で騒がれた西成ロケ作品が封印解除! 観る者の脳内麻薬を分泌させる過激作『解放区』

西成のリアリティーとは?

 

2019年3月に閉鎖された「あいりん労働福祉センター」。1階は寄せ場として、早朝になると日雇い仕事を求める人々が集まった。

 クライマックスでは、本物の元シャブの売人がカメラの前に姿を現わし、精神的にも肉体的にも追い詰められた太田監督、いや須山に、「これを打てば、元気になるでぇ」とシャブを勧める。元本職だけに、注射器を扱う手つきもスムーズそのもの。極度の緊張のためにブルブルと震える須山、いや太田監督は目の前に差し出された“西成のリアリティー”を体感することになる。

 どこまでがリアルで、どこからがフィクションなのか、映画『解放区』において、そのボーダーはとても曖昧だ。助成金問題は太田監督が返上したことで解決したものの、危険な匂いのする本作は配給がなかなか決まらず、映画の完成から一般公開までに5年の歳月を要することになった。本編中に映っていた「あいりん労働福祉センター」はすでに閉鎖されている。お蔵入り寸前だった幻の映画『解放区』に、あなたはどんなリアリティーを見い出すだろうか。

(文=長野辰次)

『解放区』

監督・脚本・編集/太田信吾

出演/太田信吾、本山大、山口遥、琥珀うた、佐藤亮、岸健太朗、KURA、朝倉太郎、鈴木宏侑、籾山昌徳、本山純子、青山雅史、ダンシング義隆&THE ロックンロールフォーエバー、SHINGO★西成

配給/SPACE SHOWER FILMS R18+ 10月18日(金)よりテアトル新宿、11月1日(金)よりテアトル梅田ほか全国順次公開

(c)2019「解放区」上映委員会

http://kaihouku-film.com

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最終更新:2019/10/18 20:00
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