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深読みCINEMAコラム【パンドラ映画館】Vol.574

路上生活者の肉体言語が街をステージに変える! 表現手段を持つ喜び『ダンシングホームレス』

文=長野辰次(ながの・たつじ)

「踊れるなら働け」という厳しい声

新宿中央公園で上演された「日々荒野」。メンバー唯一のダンス経験者である西さんは、降り続ける冷たい雨の中、一心不乱に踊り続けた。

「盆踊りの起源は、平安時代の空也上人による踊り念仏にまで遡るという説もあります。日本人にとっての踊りは、祈りでもあったようです。ソケリッサのダンスも、それにリンクするものを僕は感じるんです」と三浦監督は語る。

 都内での公演を重ね、ソケリッサのファンは少しずつだが増えている。だがその一方では、ソケリッサに対し「踊れるなら働け」「税金を払え」など厳しい声がネット上に書き込まれることもある。ホームレスのメッカ・大阪の西成への遠征公演では、会場を盛り上げることができず「いつまでやるんや」という野次が飛んだ。メンバーの変動もあり、すべて順調とはいかない。そんな中、2019年2月、ソケリッサの結成10周年で上演した「日々荒野」を新宿中央公園で行うことになる。高層ビルに囲まれた公園を母親の子宮に見立てた野外ライブの撮影だ。

 ソケリッサのメンバーは、生まれてから現在に到るまでの思いをダンスとして路上にぶつける。途中から大粒の雨が降り出し、観客はほぼいないに等しい。それでも彼らは踊る。冷たい雨が染み込む地面の上を素足で踊り続ける。星々の代わりにネオンがきらめく夜空に向かって腕を突き上げ、大地に足を踏み鳴らす。今、俺は生きている。心臓を鼓動させ、全身に血をたぎらせ、俺は生きている。カメラしかない夜の公園で、力強く熱い踊りが続く。叫びと祈りが混在したものが、ビル街にこだまする。

 

『ダンシングホームレス』
監督・撮影/三浦渉 編集/前蔦健治 撮影/桜田仁 音楽/寺尾紗穂、石川征樹、ダニエル・クオン
出演/アオキ裕キ、横内真人、伊藤春夫、小磯松美、平川収一郎、渡邊芳治、西篤近、山下幸浩 制作・配給/東京ビデオセンター 3月7日より渋谷シアター・イメージフォーラムほか全国順次公開中
(c)Tokyo Video Center
https://thedancinghomeless.com

長野辰次(ながの・たつじ)

長野辰次(ながの・たつじ)

フリーライター。著書に『バックステージヒーローズ』『パンドラ映画館 美女と楽園』など。共著に『世界のカルト監督列伝』『仰天カルト・ムービー100 PART2』ほか。

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最終更新:2020/03/13 15:06
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