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元ハードコアパンクスが氷室京介を独自に更新! DEATHROが追求する令和のJ-ROCK

介助の仕事で感じた政治の問題

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――DEATHROさんは、特に2ndアルバム『NEUREBELL』(18年7月リリース)ではレイシズムやファシズムなどに抗議するプロテストソングも歌っています。かつてハードコア・シーンに身を置いていたので、それは当然の流れだと思いますが、政治的・社会的メッセージを発するようになったきっかけなどはあったんですか?

D 明確に意識するようになったのは、2011年の3.11以降ですね。もちろん高校時代にポリティカルなバンドの歌詞を読んだりはしていたものの、身近なこととしてとらえてはいなかったと思うんです。だから自分のバンドでも内面的な葛藤とかを歌っていたんですけど、3.11以降、問題は自分の中だけじゃなくて、社会にもあるんじゃないかって。その人がその人らしく、息苦しさを感じずに生存できない世の中なら、世の中のほうを変えるべきだと考えるようになりましたね。それは、介助の仕事を始めたこととも関係しているかもしれません。

――介助のお仕事はいつ頃からなさっているんですか?

D 08年ぐらいですね。最初は障がいを持つお子さんの支援で、自立生活をしている方の介助をするようになったのは13年ぐらいから。そこで制度上の問題とかを肌で感じるようになったというか。例えばリハビリひとつ増やすにしてもいちいち審査があったりして、要は健常者ではない方たちには金を使いたくないという態度がありありと見えてきたんですよね。でも「自助でどうにかしてください」というのであれば、行政の存在意義なんてないじゃないですか。

――ないですね。

D あと、もしかしたら2000年代半ばにUNARMが出てきたのも、自分にとってエポックメイキングだったかもしれません。というのも2000年代のシーンにおけるポリティカルなバンドって大体、自分より上の世代だったんですよ。でもUNARMは同世代で、ベースのYAGISAWAはCOSMIC NEUROSEのメンバーでもあったし、そういう身近なバンドがダイレクトに政治的なメッセージを発してくれたことが下地になってたんじゃないかな。そのあと3.11があって、COSMIC NEUROSEでも「Crime Of Nukes」(12年)って曲を作ったり。ただ、原発事故が起こった直後は、反原発のアクションには参加できなかったんですよ。

――それはなぜ?

D 今考えると恥ずかしい話なんですけど、福島に住んでいない、当事者じゃない人間が東京で騒いでなんになるんだと思っていたんです。でも、ある方にお叱りをいただいて参加することにして。そのときも“ええかっこしい”をしに行くような感覚だったんですけど、それでいいんですよね。

――それがアクションを前進させる一助になるなら。

D そうそう。でも、さすがに今はもうちょい成長したというか、何かに対してプロテストするとき、具体的に誰に意見したら、もしくは誰を支援したらより効果的なのかを考えるようになって。今年の秋に親友のFUCKER(谷ぐち順/Less Than TV)が立ち上げたシェアハウス「モアザンハウス」にお住まいの障がい当事者の方やその介助者のみなさんが中心となって行った「世田谷区は障がい者の助成を切るなサウンドデモ」(世田谷区の障がい者団体等に対するバス助成事業廃止に反対するデモ)にしても、保坂(展人)区長のいる区庁舎の前に行くだけでなく、別ルートで区長に意見できる社民党議員に働きかけたりしてたみたいなんですよ。大規模なアクションを起こすのが難しい今、そういうこともより大事になってきますよね。

──さて、来たる12月23日に新代田の〈FEVER〉でワンマンライブがありますね。

D 12月23日は、5年前にDEATHROが1stライブをやった日なので、その5周年にかこつけて……内容的なことを話したほうがいいですか?

──ええと、我々は何を楽しみにしていればいいですか?

D それは、“DEATHROのライブ”を楽しみにしてください。やっぱりDEATHROのライブはDEATHROのライブであるということそれ自体が一番のバリューでありたいんですよ。ゲストがどうとか演出がどうとかじゃなくて。内容としては、15年12月23日から20年12月23日に至るまでのDEATHROの進化具合を見せるようなステージにしたいです。あと、たった今「ゲストがどうとか」って言っちゃいましたけど、今回は久しぶりにキーボードで鮎子(The DROPS/Watter Diddley)が参加してくれるので、いつものライブでは聴けないバラードも披露します。

──その2日後、12月25日に横浜の〈日ノ出町 試聴室その3〉で弾き語りのワンマンもあるんですよね。

D 12月25日に観客25人限定で25曲弾き語りをやるという、修行のようなライブなんですけど、自宅で毎日練習してるんで。クリスマスソングのカバーも用意してますし、バンド形態より自由度の高いものになるかもしれません。ただ25人限定で、なおかつ〈試聴室〉はいつも常連さんが一定数いらっしゃるので、ぜひご予約を。でも、常連さんが多いのにすごい開かれている感じがあって、それは店長の三沢(洋紀)さんのキャラクターによるところが大きいのかなって。こないだも行ってきたんですけど、面白いですよ。気づいたら隣に川本真琴さんがいたりして。

■ライブ情報
「DEATHRO 5th Anniversary “5D” START UP GiG CRYMAX HOLY NIGHT 2020」
日時:2020年12月23日(水)
場所:東京・新代田FEVER
OPEN:19:45/START:20:30
50席限定前売券:2500円+1ドリンク
予約:https://eplus.jp/deathro-1223
※12/22(火)23:59まで受付中

「DEATHRO X’mas投げ銭ワンマン」
日時:2020年12月25日(金)
場所:日ノ出町試聴室その3
OPEN/START:19:00
LIVE:DEATHROBeatless Lonely Set)
DJ:Killed by StairsBlack Hole+Kohei)
価格:1ドリンク込み1000円+投げ銭
予約:http://shicho.org/2020/12/3event201225/#more-22949

■プロフィール
DEATHRO
Rock Vocalist/Singer-songwriter。1984年12月30日生まれ。神奈川県愛甲郡出身&在住。2001年頃よりANGEL O.D.~COSMIC NEUROSEのボーカリストとしてPUNK/HARDCORE SCENEで活動した果て、16年3月にシングル「BE MYSELF」でROCK VOCALISTとしてのソロ活動を開始。その後も「SLEEPLESS」(17年)、「STARTDUST MELODY」(19年)などのMODERN BEAT ROCKのアンセムを次々送り出し、各地へのTOUR、渋谷O-NEST、下北沢THREE/SHELTER、難波BEARSでのワンマンライブをはじめ、ライブハウスに収まらず公園、ダム、うどん屋、カフェetc…をスタジアムクラスの大箱ノリに変貌させる唯一無二のパフォーマンスを繰り広げ、国内外にDEATHRO funclubの輪を広げている。
ホームページ:https://deathro0462.tumblr.com  ツイッター:https://twitter.com/deathro_com

最終更新:2020/12/22 10:16
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