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宮下かな子と観るキネマのスタアたち第3話

木下恵介の名作『二十四の瞳』で困難を生き抜く術を学ぶ…新型コロナという社会変化をどう乗り換えるか?

木下恵介の名作『二十四の瞳』で困難を生き抜く術を学ぶ…新型コロナという社会変化をどう乗り換えるか?の画像1
木下恵介監督『二十四の瞳』(画・宮下かな子)

ドラマ『チャンネルはそのまま!』(HTB)や「SOMPOケア」のCMなどに出演し大注目の女優、宮下かな子さんが、昭和のキネマを見て女優道を勉強していく新連載がスタート!第1回は、ちょうど今の時代・季節にぴったりな、名匠・小津安二郎の映画をピックアップする。

 こんばんは! 年末、いかがお過ごしですか? 例年と違った過ごし方をされている方も多いのではないでしょうか。

 今年は、映画『ブレイブ−群青戦記』(2021年3月12日公開!)の撮影から始まり、いろいろなお仕事に挑戦させていただきました。お芝居だけではなく、イラストにも力を入れることができたり…。この連載を始められたのも、今年うれしかったことの1つです。

 2020年最後の配信!何をご紹介しようかとても悩んだのですが、今回までは、私がただただ切実に好きな作品をご紹介させてください……ということで、木下恵介監督『二十四の瞳』(1954年 松竹)に致します!
『麦秋』『生きる』『二十四の瞳』、ど真ん中3本セットの形で今年を締めくくろうと思います!

●あらすじ
時は昭和3年。小豆島の岬の学校に赴任した新米教師の大石先生は、一年生12人を受け持つことになり……。戦争で厳しい世の中を生きる、大石先生と児童たちの18年間を描いた物語。

 この映画には有名な原作があるのですが、私、中学生の時に朗読の大会に出場しておりまして、その原作を大会で読んだ思い出があります。当時はクラシックバレエに本格的に取り組んでいて部活動に入っていなかったので、先生とこの大会に向けて過ごした時間は、今でも特別に覚えているんです。放送委員会の委員長も務めるなどして、かなり力を入れていて、アナウンサーになりますだなんて言って放送部がある高校に入ったのですが、入学したらチアダンス部に入部しました笑) 。

 結果、今はお芝居の仕事をさせて頂いておりますが、人に物語を魅せる楽しさを知ったのは、この大会がきっかけだったんじゃないかなと、今振り返ると思っていて。この映画もまさに、先生と生徒達のお話ですが、私にとっても思い入れがある作品なのです!

 さて、主人公大石先生を演じるのは大女優・高峰秀子さん。お芝居も素敵ですが、お人柄が垣間見えるエッセイもとても魅力的で、尊敬している女優さんの一人です。

 大石先生の初登場は、自転車で登校し、すれ違う子供たちや島中の人々に「おはよー!」と挨拶する姿なのですが、とても軽やかで爽やかで、とにかく群を抜いて華がある……。画面をぱっと明るくするようなパワーが感じられます。舞台となっている小豆島は、私も観光したことがある場所なので、大石先生が自転車でスーっと島を駆け巡る姿とともに映し出される島の風景を見て、小豆島の澄み切った空気感を思い出しました。

 しかし高峰さん、実は自転車に乗れなかったそうなんです。自転車にまたがった高峰さんを、スタッフが押し勢いで走らせ、待ち構えるスタッフの中に突っ込んでいって止めたそうです。こんな清々しい画に、そんな撮影の裏話があったのかとびっくりしてしまいました笑) 。

 島では見慣れない自転車に乗り、いつも洋服姿の大石先生に、人々は口々に噂します。大石先生の赴任先である分教場の男先生も、その新米先生の堂々たる様子に戸惑います。男先生を演じるのは、笠智衆さん! 浦辺粂子さん演じる奥さんに、少し弱気な姿を見せる場面があるのですが、奥さんに「気を大きく持ってな」と言われ、「今日はハイカラなほうがいい」と靴を履く2人のやりとりが微笑ましいのです。新聞に包まれた、あまり履く機会がないであろう靴を家の中からせかせかと持ってくる奥さんと、それを履き、風格を装う男先生。ほんの少しのシーンなのですが、これ以降、学校で子供たちや大石先生の前で振る舞う男先生を見る心情が変化するんですよね。人の本心が垣間見える瞬間を丁寧に描く、木下監督の演出に、温かさを感じました。

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