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深読みCINEMAコラム【パンドラ映画館】Vol.629

現代人を悩ませる“承認欲求”という名の呪縛 SNSを題材にした瀧内公美主演作『裏アカ』

文=長野辰次(ながの・たつじ)

おもしろき こともなき世に おもしろく

おしゃれなアパレル業界に勤める真知子(瀧内公美)だが、SNSに依存するように。

 瀧内公美は、廣木隆一監督のオリジナル脚本作『彼女の人生は間違いじゃない』(17)のオーディションで主演に抜擢され、一躍注目を集めた。震災に遭い、福島の仮設住宅で暮らす公務員のみゆき、週末は東京でデリヘル嬢として働くゆき、2つの異なる顔を繊細に演じ分けた。荒井晴彦監督の『火口のふたり』(19)では、柄本佑との大胆なベッドシーンに挑んでみせた。TVドラマ『凪のお暇』『恋はつづくよどこまでも』(TBS系)、『共演NG』(テレビ東京系)でもひと癖あるキャラを演じ、今もっとも乗っている女優だ。そんな旬の女優・瀧内公美が、本作では承認欲求に振り回される現代人の苦悩を生々しく演じる。

 ネット世界の人気者「March」のフォロワーたちは、欲望むき出しのダイレクトメッセージを次々と送り続ける。そんな中、ひとりだけ変わったフォロワーがいた。

「おもしろき こともなき世に おもしろく」

 高杉晋作の辞世の句をつぶやく「ゆーと」のことが気になり、真知子は一度会うことにする。

 真知子の前に現れた「ゆーと」は、年下の男性(神尾楓珠)だった。「ゆーと」は「March」を下町の大衆酒場へと連れ出す。見た目はイケメンでトークも巧みな「ゆーと」だが、彼もまた誰にも理解されないという孤独さを抱えていた。おしゃれなバーよりも、労働者たちが集まる大衆酒場の方が落ち着くらしい。ホッピーとオロナミンハイで乾杯する「ゆーと」と「 March」だった。「ゆーと」と会っているときの真知子は、あどけない少女のような無防備な表情を垣間見せる。

 真知子はSNSの世界で「March」として人気者となるが、次第にSNSに依存するようになる。顔も知らない、本名も分からないフォロワーたちからの「いいね!」を求めて、過激さを増すようになっていく。「役者を殺すのに刃物はいらぬ」という言葉がある。劇作家・菊田一夫が残したものだ。舞台に上がる役者のことを3度も褒めれば、その役者は天狗になって、やがては落ちぶれていくことを意味している。SNSの世界でもてはやされる「March」も、「いいね!」の嵐に自分を見失い破滅を迎えることになる。

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