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「クズ芸人」実はクレバー? ウエストランド井口、鬼越坂井が大演説「俺はもう『クズセレブ』って呼んでます」

ヤバい人種のキャッチーな部分を抽出してポップにした「クズ芸人」

 井口にとってはここからが本番。かねてより、彼には腹に一物があった。

「もぐら、岡野、山添はうまくやってんだから、ちゃんとよく見ないと。こいつらクレバーにやってるだけなんだよ、ただ単に! 全部嘘なんですよ。そもそも借金もしてないと思う、僕は。今、クズ芸人の仕事があるから借金を返さないことに必死になってるんすよ」(井口)

 テロリスト・井口。鋭い分析だ。なにせ、咄嗟に出た言葉ではない。YouTube「鬼越トマホーク喧嘩チャンネル」8月25日配信回に出演した井口は、すでにクズ芸人にまとめて物申していた。以下は鬼越の2人(坂井良多、金ちゃん)と井口のやり取りである。

井口   「ひどいよ、こいつらは。だって、大活躍じゃん」
坂井   「正直、俺はもう『クズセレブ』って呼んでます」
井口   「そう、もうセレブなのよ。お金あるじゃん! 借金キャラ? 無理無理。最近、こいつらがどうしてるかというと金返さないために必死になってる。返したら終わるから」
金ちゃん 「キャラなくなっちゃうからね(笑)」

 事実、「クズ芸人」はおいしい。特に最近は「借金芸人」の座席に人が群がり始めた。ヒコロヒー、薄幸(納言)、ゆめっち(3時のヒロイン)、粗品(霜降り明星)など。みんな売れているから悲壮感が伝わらないのも共通している。岡野だって交際中の彼女が住むタワマンで生活中だし、もぐらは奥さんの実家が金持ちだ。そもそも、空気階段はKOCの賞金だけでなくCMの仕事も入ったばかり。今の仕事量なら550万円の借金は難なく返せてしまうだろう。そして、酒井に関しては自身の実家が金持ちである。こうなったら、借金はもはやトークの持ち駒の1つでしかない。

 本物なのかエセなのか、見ていればすぐわかる。例えば、三又又三からは本物の匂いがする。でも、彼でギリギリだと思う。元「りあるキッズ」長田融季辺りまで行くと、もうテレビには出せない。「クズ芸人」を名乗ってポップに露出しているが、本来は取り扱い注意なのだ。

 ヤバい人種のキャッチーな部分を抽出し、世間へ届けるコンテンツに昇華したという意味で岡野たちには腕がある。何しろ、今年のKOCは“借金芸人対決”だった。そして、井口の言う通りにクレバーだ。唯一、儚いのは「売れたらこのキャラはおしまい」と使用期限が区切られている点。「腕がある」「クレバー」と「使用期限」が両立しない点が儚い。芽のある人材ほど、太く短い芸風になってしまう。

 ということは、さらに下の世代の新星がじきに「クズ芸人」に名乗りを上げるのか? 経済成長が望めず、希望の見えない現代にこそ際立つ、芸人の出世コースだ。

寺西ジャジューカ(芸能・テレビウォッチャー)

1978年生まれ。得意分野は、芸能、音楽、格闘技、(昔の)プロレス系。『証言UWF』(宝島社)に執筆。

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最終更新:2021/10/10 18:00
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