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深読みCINEMAコラム【パンドラ映画館】Vol.628

ロック史で最も悪名を馳せた北欧バンドの伝説! 悪魔崇拝が招いた結末『ロード・オブ・カオス』

ロック史で最も悪名を馳せた北欧バンドの伝説! 悪魔崇拝が招いた結末『ロード・オブ・カオス』の画像1 幸福度ランキングで常に上位にある北欧のノルウェーだが、そんな平和な国にも当然ながら心を病み、生きづらさを抱えている若者たちがいる。社会制度が整っている分、彼らの悩みはより屈折したものになる。メタルロックのサブジャンルであるブラックメタルは、ノルウェーで非常に人気のある過激な音楽だ。キリスト教をはじめとする権威的な存在を徹底的に否定することで、ファンをの支持を得ている。そのブラックメタルシーンにおいて、伝説のバンドとなっているのが「メイヘム」。R18映画『ロード・オブ・カオス』(原題『Lord of Chaos』)は、ロック史上もっとも忌まわしいスキャンダルの数々を招いた「メイヘム」伝説の真相に迫った実録ドラマとなっている。

 サタニズム(悪魔崇拝)を謳い、客席に豚の頭を投げ込むなどの過激なライブパフォーマンスで人気を博した「メイヘム 」。バンドの初代リーダーだったユーロニモスの視点から、彼らの悪名を決定づけた事件の顛末が語られる。主演はロリー・カルキン。人気子役だったマコーレ・カルキンの実弟だ。幼い頃に両親は子どもの稼ぎをめぐって争い、泥沼裁判に。9歳年上だった兄マコーレはアルコール依存に陥った。エンタメ界のダークサイドを間近に見てきたロリーが、25歳の若さで破滅的な人生を終えたヨーロニモスを熱演していることでも注目される。

ロック史で最も悪名を馳せた北欧バンドの伝説! 悪魔崇拝が招いた結末『ロード・オブ・カオス』の画像2
自殺、放火、殺人……、邪悪さにまみれたメタルバンド「メイヘム」の伝説をドラマ化。

 物語の始まりは、1987年のノルウェーの首都オスロから。ごく普通の中流階級の家庭に生まれたヨーロニモス(ロリー・カルキン)たち10代の若者は、退屈な日常に飽き飽きしていた。新しいバンド「メイヘム 」を結成し、ロックの世界で人気者になることを夢見る。真のブラックメタルを極めんとするヨーロニモスは、バンドにふさわしいボーカルを募集する。スウェーデンから現れたデッド(ジャック・キルマー)は、動物の死体の匂いを嗅ぐのが趣味という極度の変人。ヨーロニモスのイメージする「メイヘム 」のフロントマンにぴったりだった。

 デッドは顔を真っ白に塗ったコープスペイント(死化粧)でステージに上がり、ライブ中に自分の腕をナイフで刻むという自傷行為を繰り返す。自殺願望に取り憑かれているデッドの危険な匂いは、ファンを熱狂させた。1991年、ヨーロニモスがデッドの部屋を覗くと、そこにはショットガンで頭を撃ち抜いたデッドの血まみれ死体があり、床には脳漿が飛び散っていた。明らかに自殺だった。第一発見者となったヨーロニモスは電話通報する前に、使い捨てカメラを構え、デッドの自殺死体を激写する。しかも、カメラ映えするように死体やショットガンの位置を変えて。

「デッドの死体写真は、メイヘムの新曲のジャケットに使われるらしい」

 そんな噂が広がり、ヨーロニモス率いる「メイヘム 」はロック界に悪名を轟かせることになる。

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