日刊サイゾー トップ > 連載・コラム >  パンドラ映画館  > 『カメ止め』監督最新作
深読みCINEMAコラム【パンドラ映画館】vol.554

“カメ止め”上田慎一郎監督の才能は本物なのか? 噓と救済をめぐる物語『スペシャルアクターズ』

上田慎一郎監督の新作『スペシャルアクターズ』。金髪の演出家は『誰も知らない』(04)の北浦愛だが、メインキャストは無名の役者ばかり。

 無名俳優たちをキャスティングした上田慎一郎監督の『カメラを止めるな!』(18)は興収31億円の大ヒットを記録し、口コミで人気が広がっていく様子は“カメ止め”現象と呼ばれるまでになった。無名監督から一躍注目の存在となった上田監督の劇場用長編映画第2弾『スペシャルアクターズ』が現在公開中だ。『カメ止め』の斬新な物語構成は2014年に解散した劇団「PEACE」の舞台「GHOST IN THE BOX!」から着想を得たものだったことから、完全オリジナル作となる『スペシャルアクターズ』で上田監督は真価を問われる立場となっている。

 実際のところ、想像もしなかった大ヒットの直後だけに、新作の脚本を執筆するのは相当のプレッシャーだったようだ。若手監督の起用で定評のある「松竹ブロードキャスティング」から2017年11月の段階でオリジナル作のオファーを受けていた上田監督は、“カメ止め”ブームがようやく落ち着き始めた2018年12月から動き始める。年明けから新作映画用のキャストオーディションとワークショップを行い、キャストにアテ書きする形で脚本を執筆しようしたが、『カメ止め』での成功が逆に重荷として大きくのしかかり、まったく書けない状態に陥ってしまった。

 本作の監督補を務める妻のふくだみゆきさん、「松竹ブロードキャスティング」のプロデューサーらに励まされ、またキャストからも意見やキーワードを募り、クランクインが迫る切羽詰まった状況の中で生まれたのが、プレッシャーに遭うと失神してしまうという気弱な主人公の物語だった。自身が置かれた状況をそのまま生かす形で、上田監督は撮影1週間前にようやく完成稿を書き上げた。

123
ページ上部へ戻る

配給映画

トップページへ
日刊サイゾー|エンタメ・お笑い・ドラマ・社会の最新ニュース
  • facebook
  • twitter
  • feed
特集

【4月開始の春ドラマ】放送日、視聴率・裏事情・忖度なしレビュー!

月9、日曜劇場、木曜劇場…スタート日一覧、最新情報公開中!
写真
インタビュー

『マツコの知らない世界』出演裏話

1月23日放送の『マツコの知らない世界』(T...…
写真
人気連載

『光る君へ』中関白家の没落と道長の隆盛

──歴史エッセイスト・堀江宏樹が国民的番組・...…
写真
イチオシ記事

東野の“見た目イジリ”なぜ炎上しない?

 先月30日に公開された東野幸治のYouTubeチャンネル「東野vs」に、ぼる塾・あんりが出演した。  東野とあんりといえば、自他ともに認める“蜜...…
写真