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“台湾民主化の父”が肺炎で一時重体に! 宿敵中国人から「死ぬな」の応援メッセージが届くワケ

肺炎のため緊急入院した李登輝元総統(中国台湾網)

 “台湾民主化の父”として、また台湾初の民選総統として活躍した李登輝元総統(97)が重度の肺炎により入院していることがわかった。総統時代から中国の圧力に屈せず、台湾を死守してきた李氏だが、中国からは台独(台湾独立派)の象徴的存在として敵視されている。

 中国にとって台湾統一の大きな障壁となっている李氏の存在だが、その入院直後から中国国内のネット上では李氏に対し、「早く元気になってほしい」というメッセージが大量に寄せられるなど異例の事態となっている。とはいえ、これは、宿敵にエールを送るフェアプレイ精神とは少し違うようだ。

「中国台湾網」(2月25日付)によると同8日、李氏が牛乳を飲んでいた際、急にむせ込み、その後、せきが止まらなくなってしまったため、台北栄民総医院に緊急搬送された。そして検査の結果、肺に水がたまっており、ウイルス性の肺炎を患っていることがわかったのだ。

 李氏は以前から心臓病を患っていたため、容体は一時重体といわれるほど厳しいものとなっていた。李氏入院のニュースは中国大手メディアでも大きく報じられるなど、中国大陸における李氏に対する関心が高まっている。こうした中、中国版Twitter「微博」上では李氏に対する応援メッセージが次々に投稿されるようになった。

 しかし、その内容をよく見ると、どうやら別の意図から李氏の早期回復を祈っていることがわかる。

「絶対に死んだらダメだ! 早く回復してくれ! あなたには中国が台湾を統一する瞬間を、その目で直接見届けてほしい!」

「病気に負けるな! 病気に打ち勝て! 中国が台湾を解放し、統一したら、中国がちゃんと死刑に処してあげるから」

「中国の台湾統一を遅らせた原因であるこの人物には、中華人民共和国台湾省元総統という正式な身分を与えられてから亡くなってほしい」

 つまり、死ぬ前に、憎き李氏に台湾統一を見せつけたいというわけなのだ。

 そんな中国人らからの皮肉な声援の賜物か、李氏の病状は快方に向かっており、すでに周囲と意思の疎通が図れるほど回復しているという。

 台湾は今年の総統選で独立志向の強い民進党・蔡英文総統が再選を果たした。目下の新型コロナウイルスの感染拡大が終息すれば、中国から台湾への政治的圧力はさらに強まるものとみられている。

廣瀬大介(ひろせ・だいすけ)

明治大学卒業後、中国の重慶大学へ留学。メディア論を学び、帰国後は中国の社会問題についてウェブメディアを中心に執筆している。

ひろせだいすけ

最終更新:2020/03/08 16:00
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