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深読みCINEMAコラム【パンドラ映画館】Vol.596

家族より小さな社会単位としてのバディムービー 愛すべき相棒『ブックスマート』『ジェクシー』

文=長野辰次(ながの・たつじ)

 

イケてない女子高生コンビによるバディムービー『ブックスマート 卒業前夜のパーティーデビュー』。

 ひとりでは事件は何も起きないが、価値観や性格の異なる相棒がいることでおかしな状況に巻き込まれ、思いがけない事件へと発展していく。ひとりでは解決できないほどの大事件でも、相棒がいれば何とかなる。多様な人種が混在し、社会格差が進む米国には、いろんなタイプの相棒との友情と葛藤を描いたバディムービーが多く、名作と呼ばれる作品も少なくない。イケてない、ダサい女子高生同士のバディムービー『ブックスマート 卒業前夜のパーティーデビュー』も、その仲間入りを果たしそうだ。

 生徒会長を務める女子高生のモリー(ビーニー・フェルドスタイン)とその地味な親友のエイミー(ケイトリン・デヴァー)が、『ブックスマート』の主人公。ブックスマート=ガリ勉タイプの2人は学園で浮きまくっており、いつも一緒につるんでいた。名門イェール大学に進学することが自慢のモリーだったが、卒業式前日になって、それまで見下していたチャラい同級生たちが有名大学や人気のIT企業に進むことが決まっていると知って大ショック。卒業パーティーで弾けまくって、高校生活を悔いのないものにしようとエイミーを誘う。

 学年でいちばんイケてるグループの卒業パーティーに潜り込もうとするモリーとエイミーだが、肝心のクラスメイトたちとスマホで繋がっていないため、パーティー会場の場所が分からない。ようやく辿り着くのは、イケてないグループのパーティー会場ばかり。「一応、卒パには参加できたから、もういいじゃん」と尻込みするエイミーを引っ張って、モリーはあらゆる手段を使って、人気者のパーティー会場を探し出そうとする。卒業パーティーをどこのグループに参加するかで、学生時代の思い出は大きく変わりかねない。下ネタ、大麻ネタを盛り込みながら、ストーリーは思いがけない方向へと転がっていく。

 我が道を突き進むモリーよりも、カメラがフォーカスを当てているのは目立たないエイミーのほう。エイミーは実は同性愛者で、2年前にカミングアウトしている。そんなエイミーに、幼なじみのモリーは変わらずに接してくれた(でも、モリーは恋愛対象ではない)。モリーとエイミーがいつも一緒だったのはそのためだった。

 固い女同士の友情で結ばれていたはずのモリーとエイミーだったが、早く家に帰りたいエイミーと片想いしていた男子と接近するチャンスがめぐってきたモリーは、パーティー会場で大ゲンカを始めてしまう。卒業式前夜に、気まずく別れてしまう2人だった。

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